相談者のプロフィールとお金データ

【平田 郁子(仮名)さんプロフィール】 45歳、夫(47歳)、子供(16歳)と暮らす。東京都在住。ビル管理のパートをしている。
【寄せられたお悩み】 「夫の仕事が不安定で、しかもコロナ禍で収入が減ってしまい、毎月家計が赤字です。今は貯蓄を取り崩して何とかやりくりしています……。私もパートをしているものの、体が強くないため、これ以上仕事を増やせそうにありません。 そんな苦しい状況ですが、100万円という貯金は少ないという自覚はあり、貯金を増やしたいと考えています。また、夫も私も40代後半で、老後資金も備える必要があるとも考えます。 そうなると投資では?と興味はあるもののこんな状況で投資に手を出してよいのでしょうか。 なお、つみたてNISAで6資産に投資するバランス型投資信託を2年前から積み立てています。投資の知識があるわけではなく、金融機関に勧められた商品なので、このまま続けてよいのかも気がかりです」
【お悩みの論点】 ①収入減により赤字が続く、家計の見直し方は? ②貯金が少ない中で、投資を始めてもよいものか ③現在加入中のバランス型投資信託はこのままでよいか

資産状況や月々の収支内訳

世帯の金融資産総額(運用中の投資額と預貯金を合わせた金額):118万円
内訳 預貯金:100万円 投資信託:18万円(つみたてNISAで運用中) ※所有するファンドは、国内外の株式、債券、リートに投資するバランス型ファンド(信託報酬は約0.2%程度) 学資保険:200万円ほど(金融資産総額には入れていない)
収支 <収入> ・世帯の毎月の手取り収入:35万円(夫30万円、相談者5万円) ※もともと夫の収入は35万円であったが、コロナの影響で30万円にダウンした。 ・手取りの年収:夫520万円ほど(35万×12+ボーナス100万円)→440万円くらいに(30万円×12+80万円に減る見通し。相談者は60万円。 <支出> ・毎月の出費:37.1万円(以下詳細)

※自動車税、家電の買い替え費用、旅行代などはボーナスで支払っている

支出について、平田さんよりコメント

※1……「ローンの支払いです」

※2……「子供の塾代です」

※3……「小遣いの内訳は、夫3万円、私1万円、子供0.5万円です」

※4……「夫の終身保険3万円、自動車保険5千円です」


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この度はご相談いただき、ありがとうございます。ご主人の収入が減ってしまったとのことで、さぞご不安な日々をお過ごしのことでしょう。平田さんのお力になれるよう精一杯アドバイスさせていただきます。

工夫すれば削れる! 赤字家計脱却のカギは出費の見直しから

赤字をなくして貯蓄を増やしたい平田さん。まずは赤字の原因を探ることが重要です。家計収支を拝見すると、毎月35万円の収入に対して37.1万円の支出がありますので、差し引きすると毎月の赤字は約2.1万円となっているようですね。家計全体を拝見したところ、「頑張れば削れる項目」はあると感じました。その項目は水道光熱費、食費、小遣いの3つです。これらの項目の節約に取り組むことで、赤字家計から脱却が図れるでしょう。

水道光熱費については、3人家族で月4万円かかっているということですが、「かけ過ぎている」という印象は否めません。水道光熱費の節約は、家族の協力なくしては実現できません。まずは全体で1万円減らすことを目標にして、成功したらさらに削減に取り組みましょう。水道代の節約は、家庭の水道で一番使用料の多いお風呂をメインに対策を講じることが得策です。シャワーヘッドを節水型に変える、風呂の残り湯を洗濯などに使用するなどが簡単にできる節水です。電気代の節約なら、電力会社を変更して安いプランに変えることや、エアコンなどの冷暖房器具を各部屋で使用するのではなく、リビングなどピンポイントで使用して、家族みんながリビングで過ごすようにしてみると節電につながります。

食費の節約と言えば、安い食材を買うというような質を下げる行動に走りがちですが、食材を買い過ぎないことや食品ロスを減らすことなど、質を維持しながらできる節約が長続きするコツです。また食材を買い過ぎないためには、スーパーに行く回数を減らすことがもっとも手っ取り早くて効果的です。食品ロスを減らすには、作ったものを食べ切る習慣を持つとよいでしょう。食費全体でまずは1万円削減することを目指してみてください。

小遣いはどうでしょうか。お付き合いもあるでしょうし、本来小遣いはなるべく減らしたくないところですが、コロナ禍で飲み会の数も減っているはずです。ここは家計のピンチを乗り切る手段として、やはり小遣いの金額の見直しを検討した方がよいでしょう。例えば水道光熱費と食費もそれぞれ1万円ずつ、さらにご主人の小遣いを5千円減らせたとすると、合計2.5万円支出を削減できることになります。現在の赤字額は2.1万円ですから、見直しにより赤字家計から脱することができます。無理な節約はおすすめできませんが、コロナによる収入減を乗り越えるためにも、節約を生活に取り入れてみてください。

今は投資より生活防衛資金を貯めることを優先

平田さんは現在つみたてNISAで投信積立をしているものの、さらなる投資での資産形成にご興味があるようですね。今や銀行預金ではお金は増やせない時代ですので、とてもよい考えだと思います。しかし、今の平田さんご一家にとって、リスクのある投資での資産形成より、生活防衛資金となる安定的な資産を築くことが最優先ではないでしょうか。

生活防衛資金とは、失職や病気などで収入が途絶えた場合に備えて用意しておく資金を指します。月の生活費の半年から1年分のお金を用意しておくことが望ましいとされています。もちろん生活を守るためのお金である以上、価格の変動のある投資で形成するのではなく、銀行預金など元本保証のある商品で貯めていくのが適切です。

平田さんご一家の1カ月あたりの支出を35万円とした場合、少なくとも半年分である210万円を貯めておくことが理想的です。現在の貯蓄額からすると程遠い額に思えるかもしれませんが、毎月の支出を削ったり、ボーナス支出を見直したりするだけで貯めることはできるはずです。そのためには先述した節約はもとより、通信費や日用品費など細かな節約を行うこともおすすめします。

まずは具体的な貯蓄計画を考えましょう。例えば「100万円貯める」ことを目標にした場合、毎月2万円と夏と冬のボーナスからそれぞれ10万円ずつ貯蓄できれば年間44万円貯められます。約2年ちょっとで目標額達成です。投資で少しでも貯蓄を増やしたいというお気持ちは理解できますが、今は焦らず生活防衛資金を貯めることに優先事項としてください。

現状のバランス型ファンド積立は継続、生活防衛資金が貯まったらプラスの投資も

2年前からつみたてNISAで積み立てているバランス型ファンドを続けるべきか? のご相談にも回答します。平田さんが投資している商品は、1本の商品で国内外の株式・債券・リートに投資できる分散効果の高い商品。さらに運用成果を拝見したところ、少しずつではありますが資産が増えているご様子でした。せっかく増えているうえ、0.2%程度という低コストを実現している商品ということもありますし、毎月3千円程度の定額投資ですので、このまま続けてみてはいかがでしょうか。

ここからは仮定の話とはなりますが、生活防衛資金が貯まった後には、現在のバランス型ファンドの投資額を増やすことも一案です。つみたてNISAは年間で最大40万円まで投資ができる制度です。枠を目いっぱい使って、投資されてよいと思います。さらに、より積極的な運用を目指すなら、現在のバランス型ファンドだけではなく、先進国の株式に投資する別の商品を新たに加えてもよいでしょう。なぜなら現在のバランス型ファンドは、現状ではリターンが期待できない債券も含まれている商品です。分散投資という観点では優れている商品ですが、市場の成長性を享受するには、先進国株式の比率を高めた方がよいと思うからです。

ただし、平田さんに覚えておいていただきたいことがあります。現在のバランス型ファンドは、「金融機関の方に勧められた商品をそのまま運用している」とのことでした。今後は自分で商品を選べるだけのお金の知識力を高めていただきたいと思います。そのためには、今積み立てているファンドの特徴をあらためて目論見書で確認してみることはもとより、運用報告書をマメに読むことをおすすめします。金融の知識力アップの秘訣は、わざわざ時間を作ってお金の勉強をすることではなく、お金の情報に触れられる環境作りと習慣化に尽きると思います。ぜひ参考にしてみてください。

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今回のお話をまとめますと、まず平田さんに必要なのは、収入減を乗り越えるための家計改善と安定的な家計基盤を作ることです。同時に金融知識を高める勉強も進めながら、家計が落ち着いたら本格的に現状のつみたてNISAの“プラスα”の投資に取り組みましょう。

また、平田さんは老後資金を貯めたいとのご希望もありますので、iDeCoを始めてみるものおすすめです。非課税や長期積立投資によるiDeCoのメリットを享受するためにも、なるべく早く始めることを目標にしてください。

このコラムが、平田さんやコロナ禍で収入減になった方々への一助になることを願っています。