1位がスルガ銀行、2位は丸三証券、3位が第一生命保険……。この順位を見て、いったい何のランキングなのか、ピンとくる人はほとんどいないかもしれません。下記のランキングは、「共通KPI」の1つの「運用損益別顧客比率」で、含み益を抱えている顧客の比率が多かった金融機関を上から並べたもの。と、ここまで説明しても、何のことやら分からないという人が大半だと思いますので、どうぞご安心ください。
そもそもKPIとは、“Key Performance Indicator”の頭文字で、「重要業績評価指標」などと訳されます。つまりは、何らかの成果を示す数値と考えればいいでしょう。
そして「共通KPI」は、正式には「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」のこと。これは2018年6月に金融庁が銀行や証券会社などの投資信託の販売会社に公表を促した指標で、「1.運用損益別顧客比率」「2.投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン」「3.投資信託預り残高上位20銘柄のリスク・リターン」という3つに分かれています。上記のランキングは、1の「運用損益別顧客比率」を用いて金融機関を順位付けしたものなのです。
この「運用損益別顧客比率」をもう少し分かりやすく説明すると、金融機関で金融商品を購入した顧客のうち、利益を得ている人と損失を被っている人がそれぞれどれくらいの割合でいるかということです。共通KPIで公表が求められている金融商品は投資信託とファンドラップですが、ファンドラップを取り扱っている金融機関はそれほど多くないため、今回は投資信託のランキングです。上位の金融機関ほど、投資信託で利益を得ている顧客の比率が多いことになります。
ただし、利益を得ている人と言っても、正確には保有中の投資信託に利益が出ている、つまりは含み益を抱えている人の比率で、売却などによって利益を確定した人は含まれない点に注意が必要です。金融庁は原則として毎年3月末時点の数値の公表を求めていますが、今回のランキングは2020年3月末時点のものです。