『ビットコイン 夢と未来』(2014年)

仮想通貨「ビットコイン」の誕生から、暗号資産取引所「マウントゴックス」の破綻までを記録した『ビットコイン 夢と未来』は2014年のドキュメンタリー映画です。

米国・ピッツバーグに住むプログラマーのダニエルは、2011年に誕生したビットコインに魅せられ人生を賭けて活動を開始。同市場の起業家達に会いに行き、インタビューします。

映画の中でビットコインの価格はどんどん上昇していき、それに伴い起業家達の会社はみるみる大きくなっていきます。金が集まるところに人は群がる、新市場の急拡大とはこういうものか、と目の当たりにすることが出来ます。後にイーサリアムの創設者となる19歳の天才少年ヴィタリック・ブテリン氏のインタビューや、同コインとサブカルチャーとの関わり、預かり金が大量流出した「マウントゴックス事件」の経緯なども見どころです。

新しいお金であるビットコインついて、その誕生から歴史、その仕組みまで、観ているだけで包括的に学ぶことが出来ます。また、ビットコインの“非中央集権型通貨”という特徴が米国のスマートな人々に支持されているという事実は、同時に既存の金融システムの枠組みの限界などの問題点を私たちに突き付けます。

『引越し大名!』(2019年)

「お金がない」という状況になると、人は知恵を絞り、革新的なアイディアが生まれるもの。

2019年の日本映画『引越し大名!』は、まさに「お金がない」物語です。時は江戸前期。姫路藩主の松平直矩は豊後国日田藩へ国替えを命じられます。国替えは莫大な金のかかる一大プロジェクト。しかしながら度重なる国替えにより財政事情は苦しい上に、担当の引越し奉行が亡くなるなど藩は大ピンチ。藩の存亡をかけて、後任の奉行に「かたつむり」と呼ばれるほどの本好きで引きこもりの若者・片桐春之介が大抜擢されます。

超“ヘタレ”でありながら、この理不尽なプロジェクトを、知識や知恵で成功させようと奮闘する春之介。彼の情熱に、藩の仲間も心打たれて協力するようになり、藩全体が一丸となって目標に向かっていきます。

財政立て直しのために、収支の見直しや断捨離、リストラ策など春之介の苦渋の決断に涙無しでは見られません。企業の存続を賭けた現在のコロナ禍の状況とも重なり、お金とは? 企業とは? など深く考えさせられます。

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「1日が楽しみで毎朝ベッドを飛び出るよ。60年以上、私はそうだ」と90歳のバフェット氏は言います。巨万の富を築いたお金の達人は人生の達人でもあるようです。ご紹介した映画を通じて、お金とは何か? を考えるヒントになれば幸いです。