『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年)

一方、こちらは儲け第一主義のウォール街が舞台の映画。

2008年に起きたリーマン・ショックを題材にした、コメディ映画の巨匠・アダム・マッケイ監督による『マネー・ショート 華麗なる大逆転』は、実話でありながら、ハリウッドらしいポップでゴージャスな作品となっています。

元医師でヘッジファンドのファンドマネジャーのマイケルは、膨大な量の住宅ローンを組み合わせたMBS(モーゲージ債)やCDO(債務担保証券)の実態を調べるうちに、返済不能に陥る可能性の高い「サブプライムローン」を多く含んだデタラメな商品だと気がつき、大勝負に挑みます。住宅市場の崩壊に賭けた(ショートした)のです。

ウォール街でバカにされながらも、マイケルは「最終的には論理が市場を律する」とその時を待ち続けます。そして金融危機は起こり、彼のファンドは驚異的なパフォーマンスに――!

なぜ金融危機は起きたのか? モラルが欠如した当時の金融界や、複雑な金融商品の仕組みをストーリーを追いながら理解できます。コロナバブル発生といわれる今、再び大クラッシュを引き起こさないか考えるきっかけにもなりそうです。

『ビューティフル・マインド』(2001年)

バフェット氏の「バフェット戦略」は「ゲーム理論」を応用したものです。その「ゲーム理論」の基礎中の基礎である「ナッシュ均衡」の生みの親である天才数学者ジョン・ナッシュ博士をモデルにした2001年のアカデミー賞受賞の映画『ビューティフル・マインド』をご紹介しましょう。

「この世のすべてを支配する真理を見つけ出したい」とプリンストン大学の数学科で研究に没頭するジョン・ナッシュは、変人として有名でしたが、ついに「均衡理論」を発見します。

愛する妻と平和に暮らしていたナッシュでしたが、米ソ冷戦下で、暗号解読という極秘の任務に利用され、そのプレッシャーから精神に異常をきたします。そんな夫を献身的に支える妻。ナッシュ博士が最後に見つけた人生の方程式とは?

ブロンドの美女をどうやって口説くか酒場で議論するうちに、ナッシュは「均衡理論」を閃きます。同理論誕生のエピソードを通して、投資の基礎知識である「ゲーム理論」も理解することが出来ます。革新的な彼の理論は、1994年にノーベル経済学賞を受賞し、様々な分野に応用されています。