ESG投資では長期の運用が前提となる

地球温暖化や人権問題などは、当然のことながら今日、明日で解決できる問題ではなく、長期的な対策が必要となる。問題解決に取り組む企業においても、いかに長期的に持続可能かが問われるわけだ。そのため現時点でESG投資を実践するのは、主に年金基金や保険会社など10年、20年といったスパンでの安定的な運用を前提とする機関投資家が多い。

またESGを重視した経営を行う企業は、社会的な価値が高くなることで収益も上がりやすいと言われる。個人投資家にとっても、長期保有でリターンを得られる可能性は高いと考えられる。

例えば最近だと、スターバックスが国内店舗においてプラスチック製のストローを廃止し、紙製のストロー導入を始めた。もともと同社は発展途上国でつくられたコーヒー豆を適正価格で取引するフェアトレードも実施しており、環境や社会に配慮した取り組みを積極的に行っていたが、その取り組みに賛同する人が増えればスターバックス店舗の利用者も増加し、結果的に企業の利益も向上する。そして利益の増加によって、その一部が投資家に還元されるという流れだ。

このように、個人投資家にとっても長期保有で恩恵を享受しやすいと考えられるESG投資。老後資金の確保など、長期での積立投資が前提となる資産形成とも相性が良いと言えそうだ。

社会貢献にもつながる! ESG投資を個人が実践する方法とは?

では、ESG投資を個人が手軽に実践する方法はあるのだろうか? ここでは、国内における代表的なESG関連のETFを紹介したい。

厚生年金や国民年金の財源となる資金の管理・運用を行うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、国内のESG指数への投資をすでに行っていることで知られている。そんなGPIFが採用する指数とは、次の3つだ。

・FTSE Blossom Japan Index ・MSCI ジャパン ESG セレクト・リーダーズ指数 ・MSCI 日本株女性活躍指数(愛称は WIN)

この3つの指数への連動を目指すETFは東京証券取引所に上場しており、個人投資家でも購入できるため、ESG投資を手軽に実践できる。ETFの購入を通じてESGに配慮した経営を行う企業に投資すれば、間接的に社会貢献にもつながると言える。前述の通り、ESG関連の投資信託の設定も増えていることから、日本以外にも投資したいという人であれば、そちらを活用するのもいいだろう。

コロナ禍で、さらに注目を集めるESG投資。今後は機関投資家のみならず個人投資家の間でも、資産形成の手段として主流になっていくかもしれない。