公的制度もフル活用し、税効率の最適化と資産形成をサポート

今回お話しするのは、IFAになる以前、保険会社の営業マンだったころから22年にわたってお付き合いいただいている渡辺洋介さん(仮名、57歳)のケースです。

相談者: 渡辺 洋介さん(57) 会社経営 (仮名)

私は大学卒業後、証券会社と生命保険会社で営業マンを経験した後、2003年にFPブレーンを創業しました。渡辺さんとは、独立前の生保時代に別のお客さまから紹介いただいて以来、実に22年にわたるお付き合いになります。

出会った当時、渡辺さんは35歳。建設関連の職人を経験後、会社を設立して間もない時期で、3人のお子さんの父親でもありました。若いころに加入した生命保険の保障の内容をよく把握していないので、ムダや不足がないかを見てほしいとのことでした。そのときは、これまで加入していた保険をスリム化し、万一に備えた死亡保険を中心に保障を組んだほか、変額保険を利用した資産形成を勧めました。

保険会社では最適な保障を提案するためにご家族も含めた詳細なライフプランを作成するので、こうした相談を通して信頼関係が育まれます。私がIFAとして独立を決めたときも、引き続き力になってほしいと希望され、お付き合いが続くことになりました。

渡辺さんの経営する会社は、順調に業績を伸ばしていました。だからといって暮らし向きが派手になったり、浪費することもなくいたって堅実な社長さんではありましたが、利益が伸びれば納税額も大きくなります。このころの私は、渡辺さん個人と経営する法人の双方の観点から、税金優遇制度等の活用についてアドバイスしていました。

まずは、所得控除可能な資産形成をご紹介しました。1つは取引先の倒産に備えられる経営セーフティ共済、2つ目は、経営者の退職金づくり制度である小規模企業共済。どちらも、法人個人の所得税控除が受けられる有利な制度を紹介したところ、「ぜひ加入したい」と希望され、手続きをお手伝いしました。また、企業型確定拠出年金制度の導入についてもごアドバイスを差し上げました。役員である渡辺さん夫妻はもちろん、加入者となる従業員の分についても掛金を全額損金にできる上、退職金が充実し、従業員満足にもつながります。

これらは全て公的な制度で、掛金が全額損金あるいは所得控除の対象となり、納税額を軽減しつつ老後や万一に備えられる非常に有利な制度です。ただ、実を言うとこうした制度の導入をお手伝いしても、IFAにとっては1円の利益にもならないばかりか、利益の源泉となる金融商品の購入や保険加入の余力を奪うことにもなるので、あえて紹介しないIFAもいると聞きます。

相談料が無料で、取引の際の手数料を大きな収益源としているIFAであればそれも致し方ありませんが、当社は相談やアドバイスにフィーをいただく料金体系としていることもあり、お客さま本位で最も有利な制度を紹介することができています。

ほかにも、費用全額を即時償却しながら毎年売電収入を得られる太陽光発電をはじめ、税優遇策を最大限に生かした制度、商品、スキームなどを提案し、財務的戦略の効果を上げてきました。

証券と生保の営業マン時代は、お客さまに提案できるのが金融商品や保険に限られてしまうことのもどかしさを感じていました。IFAとなってようやく、ジャンルを超えてお客さまの力になれるようになったと感じます。