受注残高と次世代EUV・HBM需要に注目
レーザーテックの先行きを見極める判断材料としてまず確認したいのが受注高・受注残高です。2026年6月期の受注高は前期1,052億円から2,375億円へ大きく回復しました。受注残高は3,229億円です。レーザーテックは高額装置を扱うため、受注から納入・検収、売上計上までに時間差があり、数台の検収時期がずれるだけでも業績が大きく変動する可能性があります。そのため、売上だけでなく受注高・受注残高をセットで確認することが重要です。
同時に、EUV市場そのものの成長性も見る必要があります。特に確認したいのは次の3点、①ASMLのEUV出荷・受注・生産能力、②TSMCなどの設備投資額と2nm以下の先端プロセス比率、③High-NA EUVの量産導入状況です。
ASMLはAI向けロジック・メモリ需要を背景に、2026年に約65台としているLow-NA EUVの生産能力を2027年に約30%増強する計画を示しています。またTSMCでは、2026年7~9月期に2nm世代がすでにウェハ売上の8%を占めています。EUV露光装置の導入台数と、EUVを使用する先端プロセスの生産量が増えるほど、レーザーテックのマスク検査需要にも追い風となります。
もう一つの成長要因がHBM(High Bandwidth Memory、広帯域メモリ)です。HBMとは、複数のDRAMを積み重ね、GPUなどと大量のデータを高速にやり取りするAI向け高性能メモリです。HBMの積層工程そのものが直接EUV需要を生むわけではありませんが、HBM向けDRAMの微細化が進むことでDRAM製造におけるEUV採用が増え、間接的にレーザーテックの市場拡大につながります。
こうした高い成長期待は、株式市場における評価にも表れており、時価総額は約3.73兆円です(2026年10月19日時点)。また、実績PERは45.9倍、PBRは14.4倍と、非常に高い収益性と成長期待が株価に織り込まれています。その一方、業績自体は堅調であっても、受注や利益成長が市場期待を下回るだけでバリュエーションが低下する可能性があります。
したがって、レーザーテックを見る際には、「EUV市場が伸びるか」だけでなく、「現在の高シェア・高利益率を維持できるか」「主要顧客の設備投資が継続するか」「現在の株価評価を利益成長で正当化できるか」という点まで確認する必要があります。
次世代EUVでも圧倒的シェアと高収益を維持できるか
レーザーテックは、EUVマスク検査という最先端半導体の量産化で課題となりやすい領域に研究開発資源を集中し、世界初の製品を先行投入することで、高シェアと高収益を築いてきた企業です。
今後の成長を見るうえでは、ASMLのEUV受注・生産能力、TSMCなどの先端プロセス投資、High-NA EUVの普及、HBM向けDRAMの微細化、そしてレーザーテック自身の受注高・受注残高が重要です。一方、特定顧客への集中、次世代技術での競争、検収時期による業績変動、PER45倍超・PBR14倍超という高い市場評価には注意が必要です。
現在の強さそのものより、その優位性と高収益を次世代EUVでも維持できるかが、レーザーテックを見るうえで最大のポイントといえるでしょう。
