シェアハウスへの引っ越しで取り戻した「自分らしい生活」
石津さんの事務所を訪れた2カ月後の今年3月、私はとりあえず生活に必要な身の回り物だけを持ってシェアハウスに引っ越しました。下の孫の卒園式の1週間後でした。孫は4月からは学童に行っています。この計画を最初に話した時は香織も婿も相当驚いたようでしたが、「体が動けるうちは自由に暮らしたいの」というと納得してくれました。
シェアハウスに暮らす人たちは私より年上の方が多く、全員が女性です。広々とした共用のリビングやキッチンの他に、各自の部屋やトランクルームもあります。共有施設の掃除やゴミ捨てなどは当番制。食事はそれぞれ用意する仕組みですが、親しくなったグループでランチに出かけたり、夕食を交互に作って一緒に食べたりしています。
介護や医療の専門家が常駐しているわけではありませんが、緊急時や助けが必要な時は指定のNPOの番号に連絡すれば、対応してもらえます。
費用は水道光熱費込みで月額10万円ほど(初期費用別)。
シェアハウスに移ってからは自由に使える時間やお金も増え、新しいお友達とダンスのレッスンに通い始めました。大きな荷物は家に置いたままなので、平日の昼間に週2日ほど自宅に通い、終活も兼ねた家の整理をしています。
私が考えつきもしなかった解決法を示してくれた石津さんには、どんなに感謝してもしきれません。
実は、最初の面談の際、私は自分の相続にも言及し、「あの婿にうちのお金が渡るのは業腹だから、財産は二女の沙織に引き継ぎたい」と口走ってしまいました。石津さんからは「お気持ちは分かりますが、谷口さんは今ちょっと感情的になっているように思えます。その話はもう少し時間を置いてからしませんか?」となだめられました。
実際、香織や婿への悪感情は少しずつ収まってきました。その後、香織本人から数年前に婿の職場不倫が露見した頃から夫婦仲が悪化し、それが子どもたちにも影響してしまったのかもしれないという話を聞かされたからです。香織としては実家に戻ることでやり直したかったのでしょうが、婿からすれば、いきなり義理の母親と同居することになって戸惑っていたに違いありません。
石津さんとは月に2回は顔を合わせ、相変わらず、よろず相談に乗っていただいています。ただ、「一段落したら、今度は相続の相談にうかがいます」と言った約束はまだ果たせていません。来年は私も高齢者ですから、そろそろ、相続の話もしなければと思う昨今です。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
