子ども好きの夫に抱く罪悪感
電話から1時間後、道明が帰ってきて、2人で夕食を取った。そこで清美はひろ子のことを伝えた。
「さっきお義母さんから電話があったよ。帰省のこと伝えてなかったんだって?」
「ああ、忘れてた。清美が言ってくれたのか?」
「うん。13日に帰るって言っておいた」
清美がそう答えると、道明は屈託ない笑顔を見せた。
「兄貴のところの2人目に会うのは初めてだからな。どんな子か楽しみだよ」
義実家には、道明の兄・武と妻の悠里も同居している。悠里は先々月に2人目の男の子を出産していた。
清美もそうだが、道明は清美以上に子ども好きだ。ただ、清美たちの間に子どもはまだできていなかった。妊活もしてはいるが、まだ成果は出ていなかった。名字のことで道明の親は難色を示していたらしいが、それでも説得して自分のことを選んでくれた道明の気持ちに報いたいと思っているからこそ、子どもの顔を見せられていないことには小さくない罪悪感がある。
「楽しみだな」
道明に笑って聞かれた清美は笑顔を作ってうなずいた。本当は義実家に帰るのがおっくうだったが、その気持ちを道明に打ち明けられるはずもなかった。
