「ネチネチしてて嫌な感じだった」

「もちろん、色んな人がいるから、中にはこういう行事をあまり良く思わない人もいるんだろうさ。でも、盆踊りは日本の伝統行事だし、そこを含めて受け継いでいくべきじゃないか? 楽しみにしてる人もたくさんいるわけだし、ちょっとくらいは我慢してもらわないと困るんだよな」

「クレーム入れてきたのはどんな人?」

「30代くらいの男かな。まだ若い人。仕事中だったらしくて、今すぐ音量を下げないと通報するって、すごい剣幕でさ。面倒なことに音量まで計測して、騒音基準値を超えているから業務妨害だ、とか言っちゃってさ。ネチネチしてて嫌な感じだった」

「しょうがないよ。最近の若い人、盆踊りなんて古い行事に興味ないし。それに何でも個人主義だから、気に入らないことがあったらどんどん言ってくるわよ」

「けど、こんなクレームにいちいち対応しているわけにもいかないし」

「対応するのがしんどいなら、そろそろ盆踊りの委員長をやめたら……」こずえはまたこの話題を持ち出した。

「またその話か……」

何度も言われて不機嫌になったのか、政孝はそう言ってぷいっとそっぽを向いてしまった。

その様子に、こずえは不満を抱きつつ、明日の夜に何事もなければいいがと不安になるのだった。

●盆踊り2日目は無事開催できたのでしょうか? 後編:【「盆踊りの騒音が100デシベルを超えています!」と警察に通報…悪質クレーマーに苦慮する62歳実行委員長の災難】にて詳細をお届けします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。