<前編のあらすじ>

山田健一さん(56歳)は、東京の大手商社に勤務する会社員。

このところ身内の不幸が続き、5年前に母親を亡くし、長く闘病を続けていた父親も後を追うように亡くなってしまいました。

その結果、健一さんは、妹の理恵さん(49)と共に、長野県にある現在は空き家の実家を相続することに。

健一さんは実家とはいえ空き家の相続には反対でしたが、理恵さんはじめ親戚の意見に流され、結局理恵さんと共同で相続することに。

しかし、その理恵さんは「外国人と婚約した」と言って、海外にわたり行方不明になってしまいます。

一方、健一さんには、理恵さんの分の相続税をはじめ、実家の固定資産税や維持管理費の負担がのしかかってきました……。

●前編:妹の相続税まで肩代わりすることに…「いい人すぎる56歳長男」が巻き込まれた「空き家相続トラブル」

相続した直後の売却が有利

実は、相続から3年を経過した日の年度内に売却した場合、「相続空き家の3000万円特別控除特例」により、売却益から3000万円まで控除されます。

また、相続後3年10ヶ月以内に売却した場合、不動産の取得費用に相続税額を加算することができる「取得費加算の特例」もあります。

こうした制度を知った健一さんは、売却しても税負担を軽減できるとあって、がぜん売却に前のめりになり、事は急げと準備を進めていました。

しかし、ここでも、妹・理恵さんに足を引っ張られます。

相続した実家は、理恵さんとの共同登記になっていましたが、売却するには、登記されている者全員の合意が必要です。

ただ、理恵さんは海外に行くと行ったきり、行方が分かりません。それでも健一さんは、わずかな情報を頼りに居場所を突き止めようとしましたが、結局見つけることはできませんでした。

そんな風にして時間だけが経ち、特例の使用期限も差し迫ってきます。

健一さんはとうとう、「共有物分割請求訴訟」を起こす決断を下しました。