今後の見通し
2026年以降の金需要を押し上げる最大の要因は引き続き地政学リスクであると見込まれています。地政学リスクは、中央銀行による持続的買い越しや、世界レベルでの金ETFへの大幅な資金流入、金地金・金貨による蓄財を下支えします。リサイクルは今年、若干の増加となる見込みです。宝飾品は今後も金の高価格の影響を受けることになる可能性が高いです。鉱山供給は、高価格や高マージンに対応して再び増加することが予想されます。
国債の利回りは、中央銀行が米イスラエル・イラン戦争に伴う供給ショックへの対応に苦慮し、また株式と債券の正の相関がヘッジとしての債券の魅力を損なう中で、政策金利の道筋がより明確になるまで、高止まりする可能性が高くなっています。
過去数年、金価格上昇を助長してきた地政学リスクプレミアムはこれからも続き、今年後半に向けて増大する可能性もあります。
結果的に、ETFとOTCに対する機関投資家の需要は増加するものの、昨年を超えることはないでしょう。一方、リテール投資需要は、高価格や一部の市場で有効な投資代替手段がないこと、インフレ懸念、持続的な不透明性の高まりなどが引き続き、資産保全を目的とする投資家と投機目的の投資家の両方を惹き付けるでしょう。
世界的な地政学リスクへの懸念が有効なリスクヘッジに対する需要を増大させる中、アジアの需要が投資の力強さを支える主要要因であり続けることが十分考えられます。
経済的ショックがなければ、宝飾品支出は堅調である可能性がありますが、トンベースの需要量は、高価格や地域ごとの税制の影響から、減少することが予想されます。
中央銀行による購入は、昨年とほぼ同じレベルで底堅く推移するものと思われます。大幅な値動きや長期にわたる地政学リスクがさらなる上振れ圧力をもたらす可能性はあるものの、需要は順調な伸びを示しています。ただし、さらなる供給ショックが生じた場合、金準備が定期的に動員される可能性は否定できません。
一部地域の操業にエネルギー不足が及ぼす影響に注目していますが、鉱山生産は今年も多少増加すると思われます。リサイクルは増加しているものの、最終製品前の中間在庫の不足や価格高騰が続くとの予想、地政学リスクプレミアムの存在などによって制約を受けることが見込まれます。
図3:金価格はすべての通貨で1月にピークに達し、その後明確な調整があったが、全体的傾向は依然変わっていない
中央銀行
今期の中央銀行による買い越しは、特に最近の価格動向や金準備の顕著な動員を踏まえると、安心感を覚えるほど堅調でした。ただし、中東の混乱や流動性ニーズ、為替管理のために、さらなる戦術的なリバランスが生じる可能性は排除できません。より一般的に言えば、地経学的な不確実性は長期の金需要を下支えする。通年のターゲットは昨年同様で、700~900トンです。
供給
高価格によって、大規模金採掘(LSM)と零細・小規模採掘(ASGM)の両セグメントにおいてさらなる増産が実現することで、鉱山生産量は今年もまた、緩やかな増加となる可能性があります。オセアニアやアジアの鉱山では、軽油不足から生産が滞ることが考えられ、その結果、世界の鉱山生産量が予測を下回る恐れがあります。また長期的には、新たなLSMプロジェクトの立ち上げや許認可の取得、資金調達、建設に関わる問題が今後も続くでしょう。
リサイクル
リサイクルが再び増加し始めましたが、おそらく金価格の大きな変動に対する懸念や、エネルギー価格の高騰が消費者の財布に及ぼす影響がその一因であると思われます。米国とイランの対立が長引けば、さらに多くの売り戻しが生じる可能性があります。また、担保付融資に対する圧力が強まれば、インドからの供給が急増するでしょう。ただし、金価格が安定した場合―特に価格上昇の道筋が確実に見えるようになった場合、今期の増加は一時的なものになることが十分考えられます。
※レポートの続きは「ゴールド・デマンド・トレンド: 2026年第1四半期」よりご覧いただけます。
