昨年は60%以上の上昇率を見せた金価格ですが、中東情勢の悪化を契機に金価格は低調が続いています。
こうした値動きの背景にある金の需要はどのように変化したのでしょうか? 2026年の第一四半期の振り返りと、今後の展望についてご紹介します。

※本記事は4月29日に公開されたワールド・ゴールド・カウンシルの「ゴールド・デマンド・トレンド: 2026年第1四半期」より一部を抜粋・編集しております。

第1四半期の需要を押し上げた金地金・金貨 世界全体の需要は過去最高を記録 

今第1四半期の金の総需要(OTCを含む)は、前年同期比2%増の1,231トンでした。緩やかな量的増加と前例のない高水準にある金価格とにより、需要は74%増加し四半期として過去最高の1,930億米ドルに達しました。

金地金・金貨需要の474トン(42%増)は四半期として過去2番目に多い数量です。その先頭に立って、金投資商品を積極的に買い入れたのがアジアの投資家たちです。

今期も金を裏付けとするETFの購入(62トン増)は続きましたが、3月に米国系ファンドから大量の流出があったことで、非常に好調だった2025年第1四半期(230トン増)に比べ、ペースが低下しました。

金が記録的高値を続ける中で、宝飾品の数量ベース需要は下方圧力(前年同期比-23%)を受け続けている一方、支出水準は再び増加し(前年同期比+31%)、金宝飾品に対するマインドがポジティブな状態を維持していることが示されました。

今期、明らかに売却が増加したにもかかわらず、中央銀行の購入は正味ベースで244トン(前年同期比+3%)となりました。 

テクノロジー分野の金需要は1%増の82トンで、AIインフラの新設が続いていることが大きく貢献しています。

ハイライト

LBMA金価格午後決め値が四半期平均として過去最高の4,873米ドル/オンスを記録しました。1月に5,405米ドル/オンスという歴史的高値に達した後、顕著な価格調整局面に入りました。今第1四半期において、金価格は6%上昇しました。

  • 今期の金の供給量は、前年同期比2%増の1,231トンでした。鉱山生産量の若干の増加とリサイクル金の5%増加が貢献しました。

  • 投資需要が加工需要を大きく上回りました。宝飾品需要の低下および投資家の金への関心が高まったことで近年、需要の構成に変化が生じました。

  • 今後の見通し

  • 2026年の金需要予測において中心となるのが地政学的要因です。ワールド ゴールド カウンシルでは、現在進行中の地政学リスクと、高水準にあるインフレ率および金価格が推進力となり、投資需要と中央銀行需要を下支えすると考えています。宝飾品需要も同様の要因からの圧力を受け続けるものの、支出は今後も堅調に推移することが十分見込まれます。

  • 図1:今第1四半期の前年同期比を押し上げた金地金・金貨投資

出所: メタルズ・フォーカス, リフィニティブGFMS, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項 *データは2026年3月31日現在。

金の供給と需要

表1:四半期ごとのセクター別金の供給と需要(トン) 

注:これらの用語の説明は、「注と定義」を参照のこと。ダウンロードは https://www.gold.org/goldhub/data/gold-demand-by-country。 出所:メタルズ・フォーカス、リフィニティブGFMS、ICEベンチマーク・アドミニストレーション、ワールド ゴールド カウンシル