「60代はまだ現役」想定外だった生前贈与の提案
その時、金城さんは私に対して“もう1つの提案”をしてくれました。妻を通して、「相続時精算課税制度」を使って長男に不動産を贈与したらどうかと伝えてきたのです。
「ずっと考えていたんですが、息子さんも20歳になりましたし、いい機会かと思いました。よろしければ、確定申告が終わった後にでもゆっくりお話しさせてください」
相続時精算課税制度の資料に添えられたメモを見て、最初は金城さんの意図を測りかねました。今の高齢化社会では60代前半は“現役”です。私自身、まだまだ仕事でやりたいこともたくさんありますし、還暦を過ぎたと言っても相続のことなど露ほども考えたことはありませんでした。
そんな私への生前贈与の提案は、正直、少々意外に感じたのです。
収益物件を今、贈与する理由
しかし、金城さんの狙いはそんな私のはるかに先を行くものでした。先月、私の事務所に会計書類のチェックに来た金城さんから、次のような説明を受けました。
「ご存じと思いますが、相続時精算課税制度は贈与税を軽減しますが、相続税を軽減するものではありません。木暮さんの相続が発生した時には、制度を使って贈与した分も相続財産に加算されます。ただし、加算されるのは贈与時の時価です。ですから、制度を使って将来値上がりが期待できるような財産を生前贈与しておくことは節税につながります。不動産に関してもう1つ言えるのは、そこから得られる賃貸収入も将来の相続税には加算されないということです。もちろん、息子さんに贈与した後は息子さんが毎年、不動産所得を申告する必要があるわけですが……」
金城さんの説明を聞いて、なるほどそういうことかと腹落ちしました。金城さんは“収入を生む資産”を早めに贈与しておくことを勧めてきたのです。そして、思い当たる物件が1つありました。数年先の開発を見越して購入した地方のマンションで、あそこなら相続時精算課税制度の特別控除額2500万円の枠内に収まります。
