将来の豊かな生活に向けて、資産形成への関心がかつてないほど高まっています。一方で、資産形成に既に取り組んでいる層とまだ取り組んでいない層との間で、将来的な資産状況に差が生じかねないという課題も見えてきています。1万人規模のアンケートから「投資を始めた人」と「踏み切れない人」の境界線を紐解き、資産形成と向き合うための視座をお届けします。
※本稿は、大和アセットマネジメント 資産運用普及センターが2026年3月に発行した「資産形成白書2026」から〔第2章|金利上昇・新NISA導入等を受けた家計金融資産の変化 第1節 資産形成を取り巻く環境の変化と家計の金融資産〕を転載・再編集したものです。

第2章|金利上昇・新NISA導入等を受けた家計金融資産の変化
第1節 資産形成を取り巻く環境の変化と家計の金融資産

資産形成を取り巻く環境の変化

本節では、近年の金利上昇や新NISAの導入といった資産形成を取り巻く環境の変化が、家計の金融資産にどのような影響を与えてきたかを整理する。

まず、近年の金利上昇について概観する。2022年頃より、モノやサービスの値上げにより物価高が世界中で進んだことを受け、各国の中央銀行はそれまで進めてきた金融緩和を転換した。我が国の中央銀行である日本銀行も、10年近く続けてきたマイナス金利や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を2024年3月に終え、その後は緩やかだが利上げを進めている。

この結果、金融機関の預金金利は上昇しており、足元では2000年代後半以来の水準まで高まっている。また、普通預金金利と定期預金金利の金利差も拡大している。

金融機関の預金金利の推移(2005年1月~2025年10月)

 

*定期預金金利は、預入期間が1年超2年未満の金利

(出所)日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」、「定期預金の預入期間別平均金利」
 

次に新NISAについてその動向を確認する。NISAは、家計の安定的な資産形成を支援することを目的として2014年に導入された。その後、岸田政権時代に資産所得倍増プランが掲げられ、2024年から制度が大幅に拡充された(新NISAの導入)。

新NISAが始まったことにより、NISAの利用者は大きく増加した。NISA口座数は新NISA開始から600万口座近く増加(2025年6月時点)したほか、2014年のNISA開始以来の累計買付額は63兆円(同)を突破した。政府が掲げる目標(2027年までにNISA口座による買付額を28兆円から56兆円へ2倍に増加)は既に達成している。

当社のアンケート調査でも、投資初心者(2020年以降に投資を始めた者)の約半数はNISAやiDeCoといった税制優遇制度が投資のきっかけとなったと回答しており、NISAが投資家の間口を広げる一助になっていると考えられる。

NISA口座数と累計買付額(2014年~2025年)

 

*2014~24年は12月時点、2025年は6月時点。2027年は政府目標

(出所)金融庁「NISA口座の利用状況調査」
 

投資初心者が投資に興味・関心を持ったきっかけ(複数回答可)(2025年)

 

*投資初心者とは、2020年以降に投資を開始した個人を指す

(出所)大和アセットマネジメント「『投資家への壁』を探る1万人アンケート」