生活を支える障害年金、示された具体的な支給額

そこまで話を伺った私は、障害年金の説明をすることにしました。

障害年金では「初診日はいつなのか?」つまり「その障害で初めて医師等の診療を受けた日がいつなのか?」というところからスタートします。

良恵さんによると、初めて精神科を受診したのは34歳頃。良恵さんは大学を卒業してから初診日まで会社員として厚生年金に加入していたとのことで、年金の未納が多すぎるといったことはありません。以上のことから、良恵さんは障害厚生年金を請求することになります。

障害厚生年金には3級から1級まであります。最も障害状態が重いのが1級で、その分年金額も多くなっています。

障害厚生年金の1級または2級になると障害基礎年金も支給され、条件を満たせば配偶者加給年金、子の加算、障害年金生活者支援給付金も支給されます。うつ病で1級になるのは稀なので、私は3級と2級それぞれの金額を良恵さん親子に提示することにしました。

(3級の場合)
障害厚生年金 5万2958円
※最低保障の金額として

(2級の場合)
障害厚生年金 3万6000円(良恵さんの今までの平均年収を320万円として概算)
障害基礎年金 7万608円
配偶者加給年金 2万316円
子の加算 2万316円
障害年金生活者支援給付金 5620円
合計 15万2860円
※いずれも2026年度の金額

金額を確認した良恵さんは言いました。

「そもそも私は障害厚生年金が受給できそうでしょうか?」

「障害厚生年金が受給できるかどうかは、医師の作成する診断書と本人または代理人が作成する病歴就労状況等申立書の記載内容で判断されます。具体的には『日常生活や就労がどのくらい困難なのか』といったことをそれぞれの文書で主張します」

「何だか難しそうですね……。何をどこから始めればよいのでしょうか」

「確かに請求に向けてクリアすべきことは沢山ありますが、私が主導して事を進めることもできます。ご安心ください。まずは日常生活と就労の困難さの文書を作成し、主治医にご覧いただくことにしましょう。私が少しずつ質問をしますので、それに回答いただくだけで大丈夫です」

「それくらいなら私たちでもできそうです。ぜひご協力をお願いします」

ここで初めて良恵さんと実母はほっとした表情になりました。

面談後、私は医師に渡すための参考資料と病歴就労状況等申立書の作成に取り掛かりました。その後、診断書の依頼をし、請求に必要な各書類を揃え、すみやかに障害厚生年金の請求をしました。