園からの苦情、ママ友の陰口…孤独な育児が母親の心を削る
拓海君は幼稚園でもトラブルが絶えず、良恵さんがお迎えに行くと保育士から苦言を呈されることが多くありました。
「みんなでお歌の練習をしている時、急に園庭に飛び出そうとしました。私が止めようとすると耳を塞いでひっくり返り、大声で叫んでしまうんです。最近では面白がってマネをする子も出てしまい困っています……」
「今日はお友達とおもちゃの取り合いになり、お友達を叩いてしまいました。自分の思い通りにいかないと、感情の爆発が抑えられないようです」
その後もトラブルが絶えなかったため、保育士から勧められ、発達障害児を診てくれる小児科に拓海君を受診させることにしました。検査をした結果、拓海君は発達障害の1つである注意欠如多動症の疑いが強いと診断されました。
医師からのアドバイスで、拓海君は療育(発達障害児の支援)を受けるようになりました。そこでは遊びやゲームを通して感情のコントロールや対人関係について学ぶことになりましたが、目に見える改善はありませんでした。
「期待したような効果は出ていない。何のために通っているのか」
良恵さんはいつの間にか拓海君の養育を中断してしまいました。
良恵さんは、我が子が迷惑をかけている負い目もあり、幼稚園のママ友との距離を縮めることができませんでした。
拓海君を幼稚園に預ける際、数人の母親が離れたところから良恵さんの様子をチラチラ見ながらひそひそ話をしています。良恵さんのことを話しているのは明白で、どのような内容かも大体想像がつきます。その事がより一層良恵さんを孤独にさせました。
