節税効果を得られない人も?

iDeCoの節税メリットの中でも特に特徴的なのは、その年の掛金を所得から差し引ける「所得控除」の仕組みだ。しかし、この仕組みは収入がない人には効果がない。

所得とは収入から必要経費を差し引いた金額を指す。収入がない人は掛金を差し引く「元ネタ」が存在しないため、所得控除の恩恵を受けられない。収入のない人は原則として所得税や住民税がかからないため、節税効果はゼロになる。

とはいえ、iDeCoにはほかにも税制優遇措置があり、「投資で得た利益に税金がかからない」メリットは収入の有無にかかわらず享受できる。よって「収入がない人がiDeCoを始めるべきではない」とまでは言えないだろう。

iDeCo加入には不向きな人もいる?

iDeCoは多くの人にとってメリットのある制度だが、一部の人にとっては不向きな場合もある。

老後資金の準備以外の目的でiDeCoを始めることは推奨できない。たとえば子どもの学費やマイホーム購入資金など、近い将来のイベントのために資産運用をしたい人には向いていない制度である。

iDeCoは自分で老後資金を準備するための制度として設計されている。そのため、準備したお金をほかの目的で使ってしまわないよう、原則60歳まで積み立てた資金は引き出せない仕組みになっている。

iDeCo本来の目的を理解しないまま加入し、いざお金が必要になったときに引き出せなくなっては本末転倒だ。制度の目的をしっかり理解したうえで始めることが重要である。

多くの人にとってiDeCoはメリットのある制度といえる

iDeCoの最大のメリットは「積立時」「運用時」「受取時」の3つのタイミングで節税効果があることで、老後資金を作りやすいことだ。特に積立時の節税効果は毎年の所得税と住民税を抑えられるため、実質的に手取りを増やすことができる。

また、長期的に着実に資金を積み立てられるよう「毎月自動で引き落とされる」「途中で引き出せない」などの仕組みが整っている。コツコツ運用を続けるのが苦手な人にも向いている制度といえる。

ただし、一度始めると原則60歳まで資金が引き出せない点が気になる人には注意が必要だ。近い将来のために資産運用を始めたい人にとって、iDeCoはデメリットとなってしまう。そのような場合はNISAへの加入を検討するのもよいだろう。

結論として、iDeCo は「デメリットしかない」制度ではなく、自身の状況や目的に応じて判断すべき制度である。さまざまな制約を理解したうえで、老後資金の準備という本来の目的に合致するなら、多くの人にとって有益な選択肢となるだろう。