前回のコラムで、“貯蓄はあるけど、頭金ゼロ”を選択しているケースでは、住宅ローンの利用において「高額」「変動」「長期」を選ぶ傾向がみられました。今回は、資産形成の傾向についてみていきます。

●参考記事:【頭金ゼロを選んだ人の62.4%が変動金利を選択…「貯蓄はあるけど頭金ゼロ」層の住宅ローンに潜むリスクとは?】

住宅ローン返済と資産形成両立は常識?!

資産形成の取組み状況について確認をしたところ、頭金割合に関わらず7割以上が「資産形成に取り組んでいる」と回答しました(図表1)。この結果から、住宅ローン返済と資産形成の両立は、今や一般的な行動といえます。

【図表1】資産形成への取組み

 

回答者:住宅購入時の保有金融資産が500万円以上あったと回答した方のうち、住宅ローン返済中の方

(出所)特に出所を示していない場合、三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2025年)をもとにミライ研作成
 

では、1年間でどれくらいの金額を資産形成できているのでしょうか。年間資産形成額の中央値を確認すると、頭金ゼロは95.0万円、4割以上では135.6万円となっており、頭金割合が高い層ほど資産形成額が多い傾向がみられました(図表2)。

【図表2】年間資産形成額

 

回答者:「住宅購入時の保有金融資産が500万円以上あったと回答した方のうち、住宅ローン返済中」かつ「資産形成に向けての取組みありと回答」した方
※年間資産形成額「わからない、答えたくない」は除く
※中央値は、回答が各選択肢内で均等に分布していることを前提として算出。小数点以下第二位を四捨五入
※グラフ内表記5.0%未満は省略

「頭金ゼロ」という選択は、手元資金を確保したいという意図や、金利環境を踏まえた判断があると考えられます。しかし、この選択が資産形成には、やや不利に働く可能性もうかがえました。

ファイナンシャル・ウェルビーイングの観点では、ライフイベントを安心して迎えられる状態を整えることが重要です。住宅購入は、家計に大きな影響を与えるイベントのひとつです。だからこそ、借入条件だけでなく、「住宅ローンの返済が、教育費や老後資金など他のライフイベントにどのような影響を与えるか」まで見通して検討することが重要です。

(三井住友トラスト・資産のミライ研究所 矢野 礼菜)