オルタナは伝統資産以上に玉石混交の世界!? アドバイザーに求められることは
広範な富裕層によるオルタナ資産への投資は、集中投資ではなく、先述のような「50:30:20」の「20」部分に抑えるような分散投資ポートフォリオでの利用が想定されています。フィーベースのラップの新規提案やリバランスのプロセスにも組み込まれることで、普及がさらに加速していくことが見込まれます。ただし、留意すべきは、伝統資産よりもファンド毎のパフォーマンスも千差万別であり、アセットクラス毎の平均的なリターンを複製することすら容易ではありません。ただオルタナを組み込みさえすれば期待リターンが上がるとか、ポートフォリオ全体のリターン・リスク効率が上がるといった単純なものではありません。オルタナ資産ファンドには経費率が300bpを超えるものも珍しくなく、それが大きな原因となって費用控除後のリターンが上場株を下回ることも少なくありません。オルタナ資産を調達してくる人たちには、伝統資産に求められるよりも、はるかに高度に洗練された目利き力と責任が問われます。
例えばフィーベースのラップに組み込む株式・債券のアクティブ投信の世界では、仮に6割程度がデューデリジェンス※3の一次選考のフィルタリングで除外されるとしましょう。オルタナ資産の場合はさらに厳しく8割が入り口段階で除外される世界です。したがって残りの2割からさらに“玉”を見つけて、そこからもっと絞り込むということをアドバイザリー業務に携わる商品選定担当者は行う必要があるのです。
※3編集部注:投資や取引を行う前に対象の資産や企業などを詳細に調査・評価して、リスクと価値を把握すること。
アメリカのファンドラップは「UMA」に移行している
さきほど「ラップは不滅だが、アメリカではファンドラップがオワコン化した」と言いました。アメリカには、ラップ口座が6種類あります。最初のラップは1975年の株式手数料自由化とほぼ同時に始まった「①SMA(Separately Managed Account)」です。日本では投信だけで運用するラップも「SMA」として提供されているものがありますが、SMAとは本来、本社で運用する「個別証券の一任運用」を指します。この定義は現在も変わりませんし、投信で運用する「SMA」はあくまでもファンドラップの一種です。アメリカではその後に本社一任として投信で運用する②ファンドラップと、ETFで運用する③ETFラップが誕生しました。これら運用対象の違いにより3種類のラップがばらばらに存在するのは顧客にとっても担当アドバイザーの利便性にとっても意味がなく、本社から見ても非効率であるということで、個別証券一任運用(SMA)、投信、ETFの3種を用いて分散投資ができるよう1つに統合したものが「④UMA(Unified Managed Account)」です※4。
※4編集部注:アメリカには他に本社一任ではない⑤は外務員ラップ(一任)、⑥は外務員ラップ(非一任)があるが、本稿では割愛。
UMAでは、投信、ETFだけでなく、個別証券一任運用のSMAを部品としても使います。いまでは投信で運用するファンドラップと、ETFで運用するETFラップはUMAに集約されています。その結果、大手証券を含む多くのアドバイザー所属先がすでにファンドラップやETFラップの提供を行っていません。個別証券一任運用のSMAを組み込むことで、アカウントの中で損益通算による税引後リターンの押し上げ機会が投信やETFだけで運用する場合に比べても格段に拡がるという点もUMAが顧客に利用される大きな理由になっています。
またUMAの中にオルタナ資産クラスを組み込むという動きは、2025年がその元年となりました。そこに組み込まれるものは先ほどのハイブリッド型と呼ばれるようなセミリキッドのインターバルファンドやBDCファンドが中心で、2026年はさらにその動きは加速していくと見ています。
