広範な富裕層へ提供されるオルタナは、一定の流動性がある「ハイブリッド」中心
オルタナと一口にいっても、個人に向けた提供の形態や流動性の高低は一様ではありません。数百億円規模の資産を有する超富裕層のための資産管理会社やファミリーオフィス、財団等を対象としたものは流動性が低い「私募」のオルタナです。プライベートエクイティやプライベートクレジット(デット)、プライベートリアルエステート、インフラなど、7年から10年あるいはそれ以上の期間、流通市場でディスカウント価格で売却しない限り現金化できないケースが一般的です。
それとは対照的に、一般の個人投資家を対象として投信やETFの形態で提供され、伝統的な資産と同様に流動性の高い「リキッドオルタナティブ」と呼ばれるものもあります。これもアメリカでは20年以上前から運用されています。こちらはロング・ショートなど中味も流動性が高いもので運用されているものがほとんどです。こちらの方は、現在の「オルタナの民主化」の動きと連動して大きく残高が増えている傾向は見られません。
さらに、これら私募オルタナとリキッドオルタナの中間にある「ハイブリッド」が直近の「オルタナの民主化」のなかでは広く使われるようになりつつあります。具体的に言うと「インターバルファンド※1」、「BDC(Business Development Company)※2」、非上場REIT等の形態が該当し、それぞれがプライベートエクイティ、プライベートクレジット、プライベートリアルエステート、インフラなどのアセットクラスに投資します。これらには一定の流動性があり、例えば3カ月に1回の頻度(インターバル)で、純資産の5%程度を上限に引き出しが可能です。
※1 一定の流動資産比率を維持しつつ四半期単位ごとに一定期間で解約が可能な非流動アセットクラス向けクローズドエンドファンド形態のオルタナ私募商品。
※2 未上場の中堅・中小企業への投資が可能なクローズドエンドファンド形態の1つ。公募・非上場タイプあり、広範なマス投資家も利用可。
1つ目の棒グラフはオルタナ資産の残高推移で、次の円グラフは2024年末時点の残高の内訳です。プライベートファンド(プライベートエクイティや不動産など)とヘッジファンド、リキッドオルタナ、さらにインターバルファンド・BDCに大別されますが、推移のグラフをご覧いただくと、過去10年間でヘッジファンドやリキッドオルタナが緩やかな増加にとどまるのに対し、ヘッジファンドを除くプライベートファンドが大きく伸びています。また比率こそ小さいもののインターバルファンド・BDC等の残高もこの数年で拡大しています。3つ目のグラフはこれらだけを抜き出したものですが、マーケットがほぼなかったような頃から、広範な富裕層がオルタナ投資の「器(うつわ)」として急速に使うようになったことを反映し急増しています。
●世界のオルタナティブ資産残高推移(2011-2024年末)
●世界のオルタナティブ資産残高の内訳(2024年末)
●米国セミリキッド・オルタナ純資産残高の推移(2014-2024)



