オルタナとは何の代替で、組み入れるメリットはどこにあるのか
アメリカでは1980年代前半から2010年代末まで約40年にわたり、「株式60:債券40」の「伝統的資産」配分を基本形として、それを2割ずつずらした5通りのポートフォリオのいずれかを提案するというのが対面投資アドバイザーの世界では常道でした。しかし2020年頃からオルタナがそこに組み入れられ、足元では「株式50:債券30:オルタナ20」という基本配分へと変化しつつあります。米最大手証券の戦略的資産配分モデルでも2019年以降は保守型から積極型の5段階のアロケーションで15~25%程度をオルタナティブ資産クラスに充当しています。
振り返ると1980年代からの40年間は、長期債利回りがおしなべて長期低下傾向を辿り、60:40の配分比率は、リスク・リターンの効率も良く、トータルリターンを狙ううえで十分に正当化できたわけです。ところが、2020年以降、アメリカですら、コロナ禍もあり、いわゆる“ジャパニフィケーション(日本のような超低金利が続く状態)”で長期債利回りが一時0.3%まで落ち込み、また株式の向こう10年間の期待リターンは直近20年間よりも低下するという見方も強まりました。その結果、従来通りに株式と債券だけで資産配分し続けること自体がポートフォリオ全体のリターンの押し下げを放置することになり、さらに2022年のように長期債利回りが下がり切った状態から上昇する局面では、大きなリスクが顕在化します。そこで株式・債券だけのポートフォリオのリターンの押し下げを食い止める、かつポートフォリオ全体のリスク・リターン効率を高める――といった運用上の一定の必然性や一定の合理性に迫られて、100万~1000万ドル規模の広範な富裕層の運用資産にもオルタナが組み入れられるようになったのです。
「ラップの中にオルタナも組み込む」変化のさなかにある
預り資産の残高に連動した手数料を顧客に払っていただく「ラップ」は半永久的に不滅だと考えていますが、アメリカにおいては投信のみで運用する「ファンドラップ」はすでに時代の役割を終え、大手でも取り扱いをやめるなど“オワコン化”しています。「ファンドラップ」は日本でも多くの金融機関が取り扱っていますが、現在は投信だけでなく個別証券もETFも組み込むことができるUMA(Unified Managed Account)に本社一任のラップは集約されてきており、そのなかでオルタナも組み込めるようになってきています(※アメリカのラップ事情については、『アメリカのファンドラップは「UMA」に移行している』の項で補足解説)。
アメリカではそもそも、日本円にして何百億円、何千億円といった規模の個人金融資産を保有するごく一部の超富裕層向けには、1970年代頃から機関投資家と同じ扱いでオルタナ資産が提供されていました。それが100万~1000万ドルといった資産規模の層にもRIAや証券会社を通じて1つの商品を最低10万ドル程度の金額からオルタナが利用できるようになったのは2010年頃からのことです。さらに、最近では小口化が進んで1万ドルかそれ以下の単位からも購入できるようになりました。まずは大手証券らが証券口座で提供を可能にし、フィーベースのUMAでも2025年から提供を開始するところが相次いでいます。並行してオルタナ運用会社と中堅中小以下の販社を繋ぐ専用プラットフォーマーも出てきており、アドバイザーが数人規模のRIAでも取り扱いが可能になっています。
