高市首相の「円安でホクホク」発言について

 今週話題になった高市総裁の発言で取り上げられた外為特会についていくつかポイントを整理しておきます。

外為特会の正式名称は外国為替資金特別会計であり、いわゆる外貨準備を指します。昨年の年末時点で約 210 兆円相当の外貨を有しています。2022 年以降の円買い介入は合計で約 24.4 兆円でしたから、まだかなり潤沢ということができます。

次に剰余金とは主に内外金利差から生じる利益を指します。円売り介入を実施する際、その売却する円は短期証券の発行によって調達します。その際、支払う円金利よりも外貨運用によって得る金利が高いため、金利差の分だけ剰余金が発生するのです。年間約 4 兆円から5 兆円に達しており、7 割を上限に一般会計予算に組み入れることができます。

一方、高市総裁は円安メリットを説明する中で外為特会に言及しており、これは為替の含み益を念頭に置いたと考えられます。ただ、その実現には米国債の売却が必要となり、事前に米国側の了承を得る必要もあるでしょう。為替介入以外での売却のハードルは高いと考えられます。

尚、日米関税交渉を通じ、日本は昨年 9 月、約 5500 億ドルの対米投資を約束しています。また、その際に円売り(円安圧力)が生じることのないよう外為特会を活用することが赤澤大臣(当時)から示されました。従って、外為特会は円買い介入のほか対米投資、減税の財源などに充てられる可能性があり、そのように考えると 210 兆円が果たして潤沢と言えるかどうか疑問が残るところです(スライド 7)。