AI投資は経済成長の脅威か? それとも救世主か?
――AI 関連の投資が活発に行われています。経済成長に及ぼす影響をどう見ていますか。
NASDAQ100指数の採用銘柄について、資本的支出と収益の比較をすると、資本的支出が年々増加しています。これはAI投資が活発に行われているからと見ていますが、問題は投資に見合った収益が得られるのか、ということです。現状、収益は資本的支出の伸びに対して見劣りしますが、設備投資の効果が現れるには時間がかかります。その点を割り引いて考える必要があるのと、やはりAIを導入することによってプラス効果は高いのではないかと見ています。
たとえばAI投資をマネタイズする機会はたくさんあります。たとえば製薬会社にとっては、創薬がこれまで以上に効率化されますし、それ以上に大きな可能性を秘めているのが労働市場への影響です。
経済成長の制約要因として、人口減少や少子高齢化による労働力の減少があります。これをAIロボットが補完して、成長を維持することは十分に可能です。特に米国は労働市場が極めて柔軟なため、労働力の人間からAIロボットへの置き換えは、迅速かつ徹底的に進むと見ています。この点は、日本とは少し違った動きになるかもしれません。
――足元の株価水準をどのように見ていますか。
PERの割高・割安を示すスコアを見ると、米国、日本、欧州のいずれも平均より割高で、特に米国と日本は顕著に割高な状況です。NASDAQに限れば比較的割高感が低いものの、予想PERを見ると、30倍を超えています。これは2021年にNASDAQがピークをつけた時と同水準で、当時はその後、株価が大幅に調整しています。それだけに今はやや警戒感を持つべきですが、もし調整があれば押し目買いのチャンスになると考えています。
また日本も割高ですが、2026年はオーバーウェイトで考えています。為替相場の円安進行に加え、金融・財政政策の改革が行われる可能性は高く、それらが株価にとってポジティブに作用するという理由です。
一方、欧州はPER、PBRとも、やや割高ななかでもその水準が低いため、バリュエーション的に魅力があります。また前述したように、防衛やインフラ投資を進めるのは好材料ですが、現時点において、まだ財源が見えていませんし、財政赤字の増加が懸念されます。こうした投資が広がれば景気刺激効果は大きく、株式投資にとってはポジティブな材料ですが、債務の総額は増えるので、債券市場にとっては望ましくありません。したがって、欧州への投資は国債よりも株式を選好しています。
――新興国に投資する際の留意点を教えて下さい。
米国でマグニフィセント7とNASDAQ銘柄が市場を牽引してきたのと同じように、新興国でもテクノロジー企業とそれ以外の企業とで、株式投資のパフォーマンスが大きく分かれてきています。総じて新興国においても、テクノロジーセクターには大きな投資機会があると見ています。
ただし新興国のなかでも、米国への輸出依存で成長している国については、関税の影響は無視できません。とりわけ新興国のなかでも経済規模が比較的大きな国、たとえばインド、インドネシア、ブラジルといった国については、比較的内需が強いので、関税の影響は比較的軽微ですが、経済規模が小さく、内需がそれほど育っていない国は、かなりの影響を受けるでしょう。2026年は新興国をオーバーウェイトで考えていますが、関税の影響を考慮し、国による選別は強まると思います。