視点を変えると良し悪しも変わる

ミクロで良かれと思う政策が、マクロでは良いとは限らないということがあります。たとえば、ミクロ経済では、企業がリストラをしたり、個人の家計で節約をすることは、個別の企業や個人にとっては良いことでもあります。

しかし、みんながそれをやってしまうと、どうなるでしょうか。マクロ経済で見れば、状況が悪くなることにつながります。こうした個々の要素では合理的な行動と思われても、それらを組み合わせた全体では意図しない悪い結果になることを、経済学では「合成の誤謬」と呼んでいます。

さらに、多様な解釈や理論があるので経済は難解になります。経済現象に対する解釈や理論は1つではなく、多くの経済学者が異なる視点から分析を行なっています。経済学には「学派」と言われる派閥があって、それぞれが違う理論を用いて経済現象を解説したりします。そのため同じ現象に対しても、複数の異なる説明がなされることがあり、混乱を招くのです。

また、経済は常に変化しており、過去の成功例が将来も通用するとは限りません。新しい技術の登場や社会の変化に合わせて、経済の仕組みも複雑に変化し続けているのです。最近では、国の財政運営に対する考え方の違いから、専門家の意見も分かれています。

お金と経済―日本の生産性を高める仕組みと法則―

 

著者名 永濱利廣
発行元 生産性出版
価格2200円(税込)