2025年は、関税引き上げといったトランプ大統領の数々の政策や高市政権による財政出動などにより、金融市場が大きく動きました。
しかし、経済関連のニュースは専門用語が多く、理解しにくいことも少なくないです。
私たちの暮らしとは切っても切り離せない経済を学ぶ際のポイントについて、高市政権の経済ブレーンとしても知られる人気エコノミスト・永濱利廣さんに解説してもらいます。
(全4回の4回)
※本稿は、永濱利廣著『お金と経済―日本の生産性を高める仕組みと法則―』(生産性出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
積極財政派vs緊縮財政派──財政政策の考え方の違い
家計にたとえると、「家計をしっかり管理して貯金を増やそう」というのが「緊縮財政派」です。一方で「必要なときには借金をしてでも投資をしよう」というのが「積極財政派」です。
緊縮財政派は、政府の借金(財政赤字)を減らすことを最も重要視します。財政赤字が膨らみ続けると、将来的に国が財政危機に陥るリスクが高まると考えています。そのため国の支出を抑えたり、増税によって収入を増やしたりする政策を主張します。背景には、将来世代に負債を残さないという倫理観が根底にあります。
一方で、積極財政派は、国の借金が増えても、経済を成長させることのほうが重要だと考えます。景気が悪いときには、政府が積極的にお金を使うことで、経済活動を活発化させ、経済成長につなげようとします。たとえば、公共事業を増やして雇用を生み出したり、減税で国民の消費を促したりする政策を主張します。経済成長によって税収が増えれば、結果的に財政も健全化するという考え方を持っています。
そのため2025年7月の参議院選挙の争点になったように、「消費減税」を唱えて財政拡大で景気浮揚を主張する「積極財政派」と、一時的な現金給付にとどめて財政健全化を主張する「緊縮財政派」とに議論が二分されました。このように多くの経済学者は異なる視点から分析をし、同じ現象に対しても複数の異なる説明がなされるのです。