2025年は、関税引き上げといったトランプ大統領の数々の政策や高市政権による財政出動などにより、金融市場が大きく動きました。

しかし、経済関連のニュースは専門用語が多く、理解しにくいことも少なくないです。

私たちの暮らしとは切っても切り離せない経済を学ぶ際のポイントについて、高市政権の経済ブレーンとしても知られる人気エコノミスト・永濱利廣さんに解説してもらいます。
(全4回の3回)

※本稿は、永濱利廣著『お金と経済―日本の生産性を高める仕組みと法則―』(生産性出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

経済が複雑に見えるのはなぜ?

近年、グローバル化の進展によって、世界の経済は国境を越えて強く結びつくようになっています。そして、1つの国で起きたできごとがすぐに、ほかの国の経済にも影響をおよぼすようになっています。国際的な政治の動きや自然災害までもが、世界経済を揺るがす要因となり、経済の仕組みはより複雑になっています。

自然災害が経済に影響する事例としては、2011年3月の東日本大震災がいちばん顕著でしょう。東日本大震災後に、日本の電源構成は大きく変化しています。

津波によって福島第一原子力発電所が深刻な事故を起こし、日本の電力供給体制に大きな変化をもたらしました。原子力発電所の多くが停止したのです。その結果、日本は火力発電、特に液化天然ガス(LNG)への依存度が高まりました。再生可能エネルギーの割合も増加傾向にあります。

震災前の2010年度の日本の電源構成は、LNGが29%、石炭28%、原子力25%、石油9%、水力7%、地熱や新しいエネルギーが2%ほどでした。しかし、震災から10年以上が経った2022年度には、なんと化石燃料(石油・石炭・液化天然ガス)が全体の約72%を占めていました。再生可能エネルギー(水力・太陽光・風力・地熱・バイオマス)も約22%にまで増えています。一方で、原子力発電は一部で再稼働が進んでいるものの、震災前の水準には戻っていません。

また、経済を複雑に感じさせるのは、予測のむずかしさのほかに、「専門用語の多さ」も一因です。私もできるだけ使わないように気をつけていますが、やはり経済学には一般の人々には馴染みのない専門用語や概念が多く存在します。ニュースや解説で、これらの用語が頻繁に使われるため、内容を理解することがむずかしく感じられるかもしれません。だからこそ、できるだけ平易な言葉で伝える工夫が必要になるのです。

経済学を学ぶ場合でも、ミクロ経済とマクロ経済では、研究対象が違っています。ミクロ経済学では、家計や企業といった個々の経済主体(ミクロ)の行動を分析し、市場での価格形成や資源配分を研究します。一方、マクロ経済学では、GDPや物価、失業率などを分析し、一国全体の経済活動を研究対象としています。