なぜ、アメリカの影響を受けるのかを考える

アメリカ経済が悪くなれば、金融面では景気を刺激するために利下げ観測が出てきて、日米の金利差が縮小すればドルが売られ、円高圧力がかかります。また、世界中からアメリカに輸出がしにくくなるわけですから、本来アメリカに輸出しようとしていたモノ(貿易財)が市場でだぶつきます。余ったモノが安く市場に出回ることになれば、その価格が下がりやすくなります。2018年以降のアメリカと中国の追加関税のかけ合いで実際に起きたことです。

このようにトランプ関税によって「日本のインフレが加速する」という情報が当たり前のように報道されていましたが、経済の基本がわかれば「誤った情報」だと気づくはずです。

しかし、経済の基本を抑えていなければ、メディアの解説に必要以上に反応して、日本はますます物価が上がるからと一喜一憂することになります。

もちろん、日本も長いデフレからインフレの方向にあるのですが、トランプ関税とは別の要因でインフレの方向にあるということです。大事なのは、ここをしっかりと理解することです。とは言ったものの、経済の専門家でさえ誤った解釈をするぐらいですから、経済について専門的に学んでいなければ、間違うことは仕方ないかもしれません。

しかし、こうした意見に対して、「なぜ、そうなるのか」という因果関係を考えてシミュレーションし、自分の考えをキチンと言えるようになることは、ますます大事になります。なぜかというと、経済の動きは1つの要因の変化がほかの多くの要素に波及効果をもたらしているからです。すでに触れたように、経済の専門家と言われる人たちでさえ、「これからの経済がどうなるのか」を読むのはむずかしいということです。

経済に関する話を耳にしたら、「そうなんだ」といったん受け入れたあとに、自分なりに深く考えてみることはますます大切になってきます。重要なのはそのための基礎知識を身につけることです。

そこで、この本では経済の基本的な仕組みと、みなさんが日々、暮らしていくうえで必要不可欠な「お金」の関係について論理的に解説していきます。生きていくうえで、「お金と経済」の根本を知らないと、将来に対して不安になったり、リスクの高い金融商品に騙されたりといったことにもなりかねないためです。

人生は長い旅のようなものです。最低限のお金と経済の知識がないと危険このうえない旅になってしまいます。自分の生活を守るために、「はじめの一歩」として知識を身つけることはとても大切になってきているのです。

 

お金と経済―日本の生産性を高める仕組みと法則―

 

著者名 永濱利廣
発行元 生産性出版
価格2200円(税込)