2025年は、関税引き上げといったトランプ大統領の数々の政策や高市政権による財政出動などにより、金融市場が大きく動きました。
しかし、経済関連のニュースは専門用語が多く、理解しにくいことも少なくないです。
私たちの暮らしとは切っても切り離せない経済を学ぶ際のポイントについて、高市政権の経済ブレーンとしても知られる人気エコノミスト・永濱利廣さんに解説してもらいます。
(全4回の1回)
※本稿は、永濱利廣著『お金と経済―日本の生産性を高める仕組みと法則―』(生産性出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
トランプ関税の影響
あるときテレビを見ていたら、ある番組で「トランプ関税で、日本はインフレが加速する」とコメントしていました。私は驚きました。本来は逆だからです。むしろトランプ関税によって、日本のインフレ加速に歯止めをかけます。というのも関税で世界経済に悪影響がおよぶ観測で商品市況が安くなり、アメリカの利下げ観測が強まることで「ドル高・円安圧力が弱まる」からです。
インフレは、モノやサービスの価格が全体的に継続して上がっていく状態のことです。裏を返せばお金の価値が下がるのです。たとえば、100円で買えていたキャベツが300円になり、同じモノを買うのに、より多くのお金が必要になるということです。
逆に、デフレはモノやサービスの値段が全体的に継続して下がっていく状態のことであり、お金の価値が上がるのです。100円で買えていたキュウリが80円になり、同じモノを買うのに、より少ないお金ですむようになります。
では、インフレとデフレの関係を理解したうえで、トランプ関税について考えてみると、どうなるでしょうか。確かにアメリカ国内では、関税がかかるわけですから、アメリカの消費者は外国から輸入した製品を高く買うことになります。もしくは海外の輸出企業が関税をかぶり、価格に反映されないケースもありますが、ここでは関税を販売価格に上乗せした場合を考えます。となれば消費者は買い控えて個人消費が下がり、雇用が悪化し、所得が減り、アメリカの景気が悪くなっていきます。
アメリカは世界最大の経済大国であり、消費大国ですから、各国の製品を輸入しています。しかし、インフレになってモノの価格が高くなり、アメリカの個人消費が冷え込んでいき、各国の輸出も減ります。こうして世界経済が悪化する観測が強まると、安くなければモノは売れないので原料となる資源価格も下がります。