クリスマスの予定とは
「えー何? まさか男じゃないでしょうね〜?」
麻紀に聞かれて美穂は照れくさい気持ちで頷いた。
「嘘ぉ⁉ ほんとに彼氏ができたの⁉ ついこの間まで彼氏なんていないって言ってたじゃない⁉」
「それがマッチングアプリで出会っちゃったんですよ」
美穂はそう言って恋人である日高翔太の写真を麻紀に見せる。
「若っ⁉ いくつ⁉」
「29歳です」
「めっちゃ年下じゃん!うわ〜裏切られた〜。クリスマスは美穂と2人で飲み明かすつもりだったのに〜」
麻紀は信じられないという表情で首を横に振る。
「それはいつでもできますから。クリスマスだけはすいません」
美穂は満面の笑みを浮かべながら麻紀に手を合わせた。
「幸せが顔に出すぎてるって」
麻紀は美穂に恨めしそうな顔をする。申し訳ないが美穂は今、心から幸せな気持ちだった。
前回の恋人と別れてからは年末なんて単に寒いだけのものだったが、今は光輝くイルミネーションに心が躍っていた。
「ちょっとどういう感じの男なのか教えなさいよ。どんなデートをしてるとかさ」
そう言われて美穂は翔太との出会いを思い返す。
◇
美穂は結婚願望はないほうだと自負している。ただ恋愛は別腹で、前の彼氏と別れて以来、アプリでいい男がいないかをチェックしていた。
だから、大体外でお酒を飲んで家に帰った後は部屋着に着替えてベッドにダイブし、何の気なしにマッチングアプリを開くのが習慣だった。
いつものようにいいね欄を見るとその中に目を引くアカウントがあった。
それが翔太だった。29歳とかなり若いが写真を見る限りはかなり自分好みの顔だ。どうしてこんな若い子が自分にいいねを押してるのかが気になった。
「詐欺か何かじゃないの……?」
独り言をつぶやきながら美穂は悩みながらいいねを送り返した。するとすぐさま翔太からメッセージが送られてくる。そこから何度かやりとりをするようになりデートの約束を取り付けるまでに至った。
