おわりに

個人投資家の老後出口戦略で最も重要なことは、形成した資産を老後の生活資金として使うことを決意することである。本稿では実行するための工夫として、長期間、年金払いの仕組みとなるよう、じぶん年金勘定を設けて取り崩しの方法論を検討した。4つの方法の特徴を比較衡量した上、よりニーズに合致したものを選択するのが良い。その上で最初に取り置いたじゆう資金勘定で老後の楽しみを満喫することを提案する。じぶん年金とじゆう資金の配分は自身のライフスタイルに照し納得いくものとすべきである。

本稿は老後出口戦略として老後資金を使い切るというコンセプトで、一つの方法論を示したものである。使い切るというコンセプトには同意できない方も当然おられよう。例えば、多額の資産を保有し、資産は取り崩さずそこから生み出される収益だけで十分生活できるなどである。重要なことは老後をどのように過ごしたいのか、資産を最終的にどうしたいのか、どういう状態が幸せなのかを十分検討することである。そしてその結論に向けて具体的な行動を起こすことである。本稿がその行動のきっかけとなれば幸いである。

なお、本稿における意見にかかわる部分および有り得るべき誤りは、筆者個人に帰属するものであり、所属する組織のものではないことを申し添える。

(執筆:MUFG資産形成研究所 所長 日下部朋久)

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