水産の利益貢献スタート 川上・川下で採算が改善

直近の業績も確認しておきましょう。

最新の決算公表は今期(26年3月期)の第1四半期です。滑り出しは順調で、営業利益は前年同期比23.1%増の94.3億円となりました、第1四半期としては、経営統合後で最高の利益となっています。欧州とペットフードが好調を維持したほか、漁業と北米で損益が改善し、利益をけん引しました。

漁業は操業効率の改善と不採算事業の整理が貢献した模様です。オセアニアでの操業の見直しや採算が悪化していた魚種からの撤退を行い、収益が改善しました。北米はスケソウダラ相場の回復や生産拠点の統合によるコスト低減から川上事業が黒字化し、川下事業もカニカマ販売が好調で利益を伸ばしています。水産資源における先述の取り組みは、足元で効果が表れているようです。

好調な第1四半期を受け、通期の予想は上方修正されました。営業利益は従来計画から30億円増額の300億円を見込みます。なお、今期は企業変革費として営業利益ベースで50億円の下押しとなること、魚価の低迷から水産資源は下期を保守的に見積もっていることから、前年同期比では減益となる見込みです。

【マルハニチロの業績予想(26年3月期)】

・売上高:1兆800億円(+0.1%)
・営業利益:300億円(-1.3%)
・純利益:175億円(-24.8%)
※()は前期比
※同第1四半期時点における同社の予想

出所:マルハニチロ 決算短信

なお、近年のマルハニチロは業績に季節性があり、第4四半期の利益は小さい傾向にあります。また、今期に見込む50億円の企業変革費は、主に第4四半期に生じる想定です。このことから、今期は第3四半期までに利益をどれだけ伸ばせるかが注目されるでしょう。