欧州事業が高成長 ペットフードも利益貢献が本格化
まずは業績の推移を押さえましょう。マルハニチロは利益の低迷期がありました。低迷はコロナ前から生じており、営業利益は21年3月期まで4期連続で減少します。
この脱却に向け、22年3月期から収益の改善に着手します。営業利益は増加傾向に転じ、25年3月期には300億円に達しました。先述のとおり、これは経営統合後で最高です。
成長の要因の1つが欧州事業です。欧州は、14年3月期に出資したオランダのシーフードコネクションを中心に展開しています。冷凍の魚介や水産加工食品を販売しており、イタリアやスペインといった水産物の消費が大きい地域で販路を拡大してきました。
シーフードコネクションの営業利益は22年3月期から急伸し、25年3月期では約60億円まで増加しています。これは、出資を開始した14年3月期比で19倍の急成長です。ROIC(投下資本利益率)も10%程度と高く、資本効率にも貢献しています。欧州を成長領域と位置づけ、推進した水産物の販路拡大が奏功した格好です。
シーフードコネクションの保有割合は従来70%でしたが、25年4月に追加取得して80%まで上昇しました。将来的には100%まで引き上げる方針です。今後は欧州での成功を他の地域へ応用し、グローバルでの成功を目指します。
成長に貢献するもう1つの事業がペットフードです。子会社のアイシアが国内で「金缶」や「ミャウミャウ」といったキャットフードを製造・販売するほか、タイ子会社のシーパックが主に欧米向けのOEM(外部委託)生産を展開します。
ペットフードにおいても、海外向けの販売を強化したことが効果的でした。これまで欧米向け販売の強化に取り組み、足元では特に北米向けが好調です。ペットフード売上高は、25年3月期に500億円まで拡大しました。3年間で36.2%の増加で、年率では10.8%の高成長です。
ペットフードはグローバル戦略で重要な位置付けで、25年6月には「ペットフード事業推進室」を新設しました。アイシアとシーパックの連携強化および知見の集約を図り、拡大するペットフード市場の成長を取り込みます。
