食器が17年ぶり黒字化も低採算、27年度まで利益ゼロ予想
ノリタケは高級陶磁器メーカーとして有名です。同社はTOTOや日本ガイシ、日本特殊陶業といった森村グループの中核企業で、食器事業はその祖業です。しかし、実は産業向けの製品が主力で、電子部品材料や研削用工具などが収益を支えています。
【セグメント情報(25年3月期)】
むしろ、食器事業は赤字が常態化していました。赤字は09年3月期から続いたとみられます。25年3月期の黒字は、実に17年ぶりです。国内向けが前期に黒字転換し、当期も維持したことで事業全体が収益化しました。経費削減や高収益商品へのシフトに取り組んだほか、価格改定も実施したことで採算が改善した模様です。
しかし、出血は止まったものの、利益は依然として低水準です。さらに、当面は横ばいの状況が続くとの予想で、利益はしばらく改善しない見通しです。
【セグメント営業利益目標(~28年3月期)】
・工業機材:31億円(25年3月期実績:17億円)
・セラミック・マテリアル:79億円(同66億円)
・エンジニアリング:25億円(同19億円)
・食器:0億円(同0億円)
出所:ノリタケ 中期経営計画
ノリタケはPBR1倍の早期回復に向け、事業別にROIC(投下資本利益率)目標を設定するとしています。しかし、食器事業は利益に期待しづらい状況であるほか、経営資源も多くを振り向けています。25年3月期においては、連結従業員の21.0%を、設備投資額の36.7%を食器事業が占めました。
事業別ROIC目標はまだ明らかになっていませんが、厳しい食器事業にどう整理をつけるのか不透明な状況です。現状を踏襲した低い目標にとどまる場合、PBR改善の看板が陳腐化する懸念もあります。ノリタケの120年を超える食器事業が岐路に立たされています。