二人以上世帯の元本割れ対策は?

単身世帯に比べてリスク性商品の保有に総じて前向きな傾向がある二人以上世帯。元本割れ対策についてはどうだろうか。単身では「何もしていない」世帯が6割近くいたが、傾向は異なるのか調査結果を見ていこう。

金融資産をより安全にするためにとった行動(20代二人以上世帯)

金融資産をより安全にするためにとった行動(20代二人以上世帯)
 
出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(※実数171、複数回答)よりFinasee編集部作成
 

「金融資産をより安全にするためにとった行動は?」という質問について、20代二人以上世帯で最も回答率が高かったのは「何もしていない」(46.8%)だった。単身世帯(58.7%)に比べると、二人以上世帯の方が積極的に行動を起こしている傾向が強い。

具体的な行動としては「金融商品の安全性に関する情報を収集した」が22.2%で最も多く、次いで「一金融機関に預けた預金金額が一千万円を超えないように、預入れ先を分散した」が15.8%となっている。

なお、「経営内容がより健全で信用度が高いと思われる金融機関に預け替えた」が13.5%で続くが、この項目が2桁台である年代は20代二人以上世帯のみだった。こうした情報収集力とあわせて、実行に移している行動力が目立つ。以降、「預金保険が適用される商品に預け替えた」(12.9%)が続く。

これらの行動は単身世帯と比べても軒並み高い割合を示しており、二人以上世帯が多様な対策を講じていることが分かる。特に「預金保険が適用される商品に預け替えた」との回答は単身世帯(4.9%)の2.6倍以上となっており、より具体的な金融知識を持って行動している可能性がうかがえる。

全年代の二人以上世帯の平均と比較しても、20代は「金融商品の安全性に関する情報を収集した」(全年代14.5%)、「経営内容がより健全で信用度が高いと思われる金融機関に預け替えた」(全年代6.3%)などの項目で高い割合を示している。20代の金融リテラシーの高まりを示す兆候かもしれない。

20代はリスクに前向き、でも対策もしっかり

他の年代と比べて、20代はリスク性商品での運用に前向きな姿勢を示す人が多いことが分かった。特に二人以上世帯ではその傾向が顕著で、3分の1が積極化したいと回答している。

また、金融資産を減らさないように情報収集や預け先の分散など具体的な行動をとっている割合が他の年代より高い。将来に向けた資産形成と同時に備えも意識している傾向がうかがえる。

ただし、元本割れを起こす可能性のある商品を保有しようと思わない20代も依然として3~4割ほど存在する。NISAやiDeCoなど税制優遇制度の拡充や、老後資金2000万円問題の顕在化など、若いうちからの資産形成の重要性が叫ばれる昨今、どのように運用と向き合っていくのか。各自の判断が求められるところだろう。

情報収集を行いつつ、自分の資産状況やライフプランに合わせた投資判断をしていくことが重要といえそうだ。

<調査概要> 調査名/「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構) 調査時期/令和5年6月23日~7月5日 調査対象/単身世帯:全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、二人以上世帯:全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)、総世帯:令和3年調査より二人以上世帯、単身世帯の調査方法が同一となったことから、両調査の計数を合算する形で作成を開始した参考計表 調査方式/インターネットモニター調査