二人以上世帯の元本割れ経験はどの程度?
続いて二人以上世帯ではどうだろうか。家族がいることで投資行動に違いがあるかもしれない。調査結果を見ていこう。
■元本割れの経験(30代二人以上世帯)
30代が世帯主の二人以上世帯の元本割れ経験は、調査によれば「ある」との回答が27.3%だった。単身世帯の26.1%より1.2ポイント高い。
一方で元本割れの経験は「ない」と回答した世帯は72.7%となっており、こちらは単身世帯(73.9%)より1.2ポイント低い。ほぼ同水準であり、投資への姿勢については世帯構成による大きな違いは見られないようだ。
また、二人以上世帯で他の年代を見ると40代、50代では元本割れ経験ありが30%台、60代、70代では40%台となっている。これらの年代と比較すると、30代は低い水準にある。この要因は投資経験の長さや運用商品の違いなどにもよる可能性がある。
「元本割れ」、受け止め方の傾向
30代二人以上世帯の元本割れの受け止め方はどうだろうか。単身世帯とは違った傾向にあるのだろうか。
■元本割れ経験の受け止め方(30代二人以上世帯)
元本割れをどう受け止めたのか。調査結果によると30代二人以上世帯では「自分の相場についての予想が外れたのであるから、それは仕方がない」との答えが69.5%と最多だった。単身世帯(72.9%)より3.4ポイント低い水準だが、ともに主流の回答となっている。
次いで「自分が元本割れするリスクをよく理解していなかったのであるから、それは仕方がない」が26.0%。こちらは単身世帯(20.0%)より6.0ポイント高い。
一方で「相場の変動によって元本割れするリスクを金融機関が十分に説明しなかったためだ」が3.4%、「著しい誤解を招く広告、勧誘を金融機関から受けたためだ」が1.1%と、金融機関側の問題とする回答は少数派だった。
単身世帯に比べ、「著しい誤解を招く広告」を原因とする回答は2.4ポイント少ない。二人以上世帯で見ると、この2つを選択した割合は30代が40代に次いで2番目に低かった。金融機関による要因というよりは自己責任として受け止めている傾向が強いことが分かる。
30代の元本割れ経験と受け止め方から分かること
調査結果によれば、30代の元本割れ経験率は40代以上に比べると低い水準にある。また、元本割れした際の受け止め方としては、「自分の相場予想が外れた」「リスクを理解していなかった」など自己責任として捉える傾向が強いことも分かった。
他の年代と比較して特徴的な点は、「自分がリスクを理解していなかった」とする回答が20代と同様に多いことだ。若年層であり、他の年代と比べて投資経験が浅いだろうことが影響している可能性がある。一方で60代や70代になると、この回答は減少傾向にある。
30代は一般的にライフスタイルの多様化が進む年代だろう。資産形成においても重要な時期だが、年代で見ると投資経験はまだ途上である人が多い可能性が高い。元本割れを「仕方がない」と受け止めつつも、これから挽回できる時間が比較的長く見込める点は大きな強みだろう。重要なのは商品を選ぶ際にリスクをしっかり理解しておくことだ。調査結果を参考に、自身が納得できる資産運用を行ってほしい。
■気になる元本割れへの対策については後編「【30代】物価高時代の資産運用「積極派」と「消極派」はどちらが多いのか? 1000人の答えは」 にて詳報している。
<調査概要> 調査名/「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構) 調査時期/令和6年6月21日~7月3日 調査対象/単身世帯:全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、二人以上世帯:全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)、総世帯:令和3年調査より二人以上世帯、単身世帯の調査方法が同一となったことから、両調査の計数を合算する形で作成を開始した参考計表 調査方式/インターネットモニター調査


