個性的な売れ筋ファンドそれぞれの魅力

浜銀TT証券の売れ筋がパフォーマンス重視である点は、「イノベーション・インサイト 世界株式戦略ファンド」のランクアップにもみてとれる。このファンドは、他社のランキング上位には見られない。残高は「予想分配金提示型」と「資産成長型」を合わせても350億円程度と小さいファンドだ。「フランクリン・テンプルトン・イノベーション世界株式ファンド(適格機関投資家専用)」に投資することで、実質的にイノベーション企業の中から持続的な成長性が期待できる企業の株式に投資する。組み入れ銘柄の約8割は米国になっており、組み入れ上位銘柄は、エヌビディア、アマゾン、マイクロソフト、ブロードコム、メタ・プラットフォームズ、アルファベットなどとなっており、投資銘柄の顔ぶれは「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」とあまり変わらない。それぞれの銘柄の組み入れ比率や個々の売買タイミングなどの違いが、パフォーマンスの差になっている。

また、8月にトップ10入りした「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」や「J-REIT・リサーチ・オープン(年2回決算型)」などもパフォーマンスの面で基準価額の上昇に勢いが感じられる。「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」は電力など公益企業に投資して安定的な配当収入を得て毎月の分配金に回そうというファンドだが、近年のAI投資ブームによって電力設備の増強が注目を集めている。電力業界が安定成長から意外な成長産業へと評価を変えてきているところがあり、あなどれない存在だ。

そして、「J-REIT・リサーチ・オープン(年2回決算型)」も2025年5月以降の上昇率は注目される。国内のオフィス、賃貸住宅市況の改善を受けてJ-REITには賃料増加が見込まれる他、国内株価が史上最高値を更新するほどに上昇していることを受けて、出遅れセクターとしてJ-REITを見直す動きも出てきているようだ。J-REIT人気は意外に息の長い相場に発展するかもしれない。

 

執筆/ライター・記者 徳永 浩