「成長が期待される資産を保有することで、企業価値を高める」戦略
これはかなり大胆な発想の転換なのかも知れません。多くの企業は自分たちのビジネスアイデアを事業化し、その成長を目指しますが、メタプラネットは事業で利益を生み出し、それをスケールさせるのではなく、成長が期待される資産を保有することにより、企業価値を高める方向に舵を切ったのです。そして、この成長が期待される資産が、ビットコインだったのです。「会社の資産としてビットコインを持つ」→「ビットコインの価格上昇により会社の資産価値が高まる」→「株価が値上がりする」という論法です。
ちなみにビットコインの対円レートを見ると、2024年から大きく上昇しています。2024年2月の安値が1BTC=615万9716円だったのが、2025年7月の高値は1811万5841円です。メタプラネットの株価は、このビットコインの値上がりと軌を一にしており、時価総額が1兆円に乗せるところまで値上がりしました。
「堀田丸正」もほぼ同様の戦略で株価が急騰
今後も、メタプラネットと同様の戦略で株価を押し上げる動きは増えてくるでしょう。事実、東証スタンダード市場に上場している「堀田丸正株式会社」の上場済株式の30%を、米国の暗号資産関連企業であるBakkt Opco Holdings,LLC(以下 Bakkt)が取得したことにより、同社の株価が急騰しました。
堀田丸正の株式は、もともとライザップ・グループが保有していましたが、その一部をBakktに譲渡するというものです。売出価格は1株につき99.41円。総額で16億7655万1082円ですから、Bakktは極めて小さな金額で堀田丸正という上場企業を手に入れ、自分たちの好きなように、暗号資産を軸にした企業に作り変えたのです。
堀田丸正がどういう企業かというと、繊維専門の卸売りです。丸正と堀田産業が2007年に合併した後、2017年からライザップの傘下に入りました。
業績は極めて厳しく、2025年3月の売上は30億9800万円。7期連続の経常赤字です。こういう企業だからこそ株価は極めて安く、8月4日時点の終値は53円でした。
ところが、そこから株価が急騰し、8月25日には1013円の高値を付けました。ここまでの経緯を見れば一目瞭然で、メタプラネットとほぼ同じ戦略です。