コモンズ投信12年ぶりの新規ファンドは、ウォルター・スコット社の助言を受けて運用する外国株ファンド
コモンズ投信が約12年ぶりに新規ファンドを設定しました。現在、運用されている「コモンズ30ファンド」、「ザ・2020ビジョン」は、いずれも国内株式を投資対象にしていますが、12月3日に設定された「コモンズ・グローバル30ファンド」は、その名の通り、外国株式を投資対象にしており、国内株式はいっさい組み入れません。
このファンドの注目点は、運用に際して、スコットランドのエジンバラに本拠地を構えるウォルター・スコット・アンド・パートナーズ・リミテッドからの助言を受けて行われることです。
ちなみにウォルター・スコット社の助言を受けて運用されるファンドは、今回が初めてではなく、すでに大和アセットマネジメントが、2021年5月に「ウォルター・スコット優良成長企業ファンド」を設定しています。ただ、「ウォルター・スコット優良成長企業ファンド」は日本を含むグローバルポートフォリオで運用されるのに対し、「コモンズ・グローバル30ファンド」は前述したように、国内株式を除くグローバルポートフォリオで運用される点が異なります。
参考までに、「ウォルター・スコット優良成長企業ファンド」の設定来の運用成績は、2025年10月末時点で71.3%です。
運用に際してウォルター・スコット社の助言を受ける以上、否応なくファンドの運用哲学には、ウォルター・スコット社のそれが反映されることになります。
今回、コモンズ投信との協業に際して、ファンドのプロモーションを兼ねて来日した、ウォルター・スコット社のマネージング・ディレクターであるジェーン・ヘンダーソン氏は、次のように言います。
「我々のビジネスの定義は、成長している企業に投資して長く持ち続けることです。長くとは、出来ることなら永遠に持ち続けたいということ。高い水準で売上と利益を伸ばし、富を創出し、潤沢なフリー・キャッシュ・フローを生み出している企業、自分の運命を自分の手中に納めている企業に投資します」。
この手の企業を厳選していくと、投資対象になりうる企業の数は相当程度、絞り込まれてきます。ウォルター・スコット社のポートフォリオは、その半分が10年以上保有し続けている企業であり、なかには30年以上保有し続けている企業もあるとのこと。まさに厳選されたポートフォリオといっても良いでしょう。
ウォルター・スコット社の運用体制は、20人ほどのスタッフで米国、欧州、アジアという3拠点を中心にして、グローバルに企業をリサーチします。日本ビジネス推進役である多次貴志氏は、銘柄選定のプロセスについて、次のように説明します。
「銘柄の発掘は、定量分析と定性分析の組み合わせで行います。定量分析は、有価証券報告書に記載されている数字を、分析のためのツールに手作業で計算しながら入力していきます。その蓄積されたデータを過去10年、15年のタームで振り返り、キャッシュフローを見ながら、定性分析を加えていきます。具体的には、ビジネスがどのように変化してきたのか、なぜその企業が強いのか、その強さはいつまで続くのかといったことを分析していくのです」。
銘柄の発掘は、20人ほどのスタッフに任されており、1人のスタッフが2週間程度の海外出張を年間で複数回行い、そこで得た情報をエジンバラに持ち帰り、20人全員で議論するそう。この20人はさまざまな異なるバックグランドを持っており、各々の異なる視点で議論を積み重ねることにより、付加価値を高めていきます。そして最終的には合議制で投資対象を選別していきます。
ウォルター・スコット社は、IR担当者にとって「最も株主になってもらいたい運用会社のひとつ」
ウォルター・スコット社の名前を初めて聞いたという方も少なくないと思いますが、コモンズ投信の伊井哲朗代表取締役社長によると、ウォルター・スコット社の名前は、日本の上場企業の間で非常に有名だということです。
「日本を代表する企業のIR担当者に言わせると、最も株主になってもらいたい運用会社のひとつと言われています。コモンズ投信を立ち上げる準備をしている時、さまざまな上場企業経営者にお会いして意見を伺ったのですが、その時、よく言われたのが『日本には本格的な長期投資のファンドが存在していない。もしコモンズ投信がそれをやるなら大歓迎だ』ということでした。流動性を確保するためには投機資金も必要ですが、同時に長期間、株式を保有してくれる投資家を、多くの企業は求めています。ウォルター・スコット社は、長期投資家として企業からの信頼も厚いと言えるでしょう」。
