減税規模ほど悪化しない財政収支

続いて、これまでの結果をもとに、暫定税率廃止がマクロ経済に及ぼす影響を試算した。具体的には、内閣府の最新マクロ経済モデルの乗数を元に、暫定税率廃止が名目GDPに与える影響について先行き3年間の影響を試算した(資料4)。

結果をみると、軽油を除いた場合は1年目には実質GDPを+0.3兆円程度押し上げる効果を持つ。更に2年目には乗数効果が拡大することにより名目GDPが+0.5兆円、そして3年目には同+0.6兆円程度押し上げられることになる。

一方、軽油を含めれば、名目GDP押上効果は1年目+0.5兆円、2年目、3年目は各+0.9兆円と、軽油抜きに比べて約1.6倍程度押し上げ効果が拡大することになる。

 

 

 

ただ、暫定税率廃止の影響は、財政収支の動向と切り離して評価することはできない。そこで続いては、同様に内閣府の最新マクロ経済モデルの乗数を元に、暫定税率廃止が財政収支に与える影響について先行き3年間の影響を試算した(資料5)。

得られた結果によれば、暫定税率廃止に伴う財政赤字拡大効果は、軽油を除けば、1年目約▲1.0兆円の財政赤字拡大要因となるが、2・3年目は▲0.9兆円弱の財政赤字拡大要因にとどまることになる。そして軽油を含めれば地方税収が約▲0.5兆円追加で減ることから、1年目約▲1.4兆円の財政赤字拡大要因となるが、2~3年目は▲1.3兆円程度の財政赤字拡大要因にとどまることになる。

以上より、少なくとも内閣府の最新マクロモデルの乗数に基づけば、暫定税率廃止は、発動時には財政赤字の拡大要因となるが、民間部門からの自然増収の効果で直接的な税収減少額(除く軽油年1円、含む軽油年1.5兆円)ほどは財政赤字を悪化させないことになる。