はじめに

与党(自民・公明)と野党4党(立憲民主、国民民主、維新、共産)が7月30日に共同で、ガソリンの暫定税率(1リットルあたり約25.1円)の年内廃止で合意し、8月1日召集の臨時国会において法案審議の準備を整える方針が明記された

そもそも、ガソリン税の暫定税率は1974年のオイルショックを契機に導入された。現在では租税特別措置により名目上は「暫定」ではないが、国民の間では「暫定税率」の名称で広く認知されている。現行のガソリン税は、本則税率28.7円/Lに暫定税率が25.1円/L上乗せされ、合計で53.8円/Lとなっている。

ガソリン税の暫定税率廃止が審議される背景には、物価高騰による生活圧迫がある。というのも、ロシアのウクライナ振興を契機とした世界的な原油価格の変動や円安の影響により、ガソリン価格は2022年以降、長期的に高止まりしている。そして、これに対して政府は「燃料補助金(激変緩和措置)」で抑制を続けているが、補助金には限界があり、抜本的な負担軽減策として「税そのものを下げるべき」という声が強まっていることがある。特に地方では車が生活の必需品であり、ガソリン価格の上昇は実質的な「地方税増税」に近い影響を与えていることも無視できない。

ただ、この暫定税率が廃止されれば、消費者負担の軽減と企業コストの低下が予想される一方で、財政への影響も無視できないだろう。そこで本稿では、ガソリンの暫定税率廃止がマクロ経済に及ぼす影響を定量的に考察する。