オルツのしたことは「資本市場を冒涜する行為」

オルツは今回、何をしでかしたのかを簡単にまとめておきます。詳細は7月29日に公開された第三者委員会の調査報告書に書かれているので、あくまでも概略を記しておきます。

同社のメイン事業は、AI議事録自動作成ツールである「AI GIJIROKU」の開発です。2024年12月期の有価証券報告書によると、有料アカウント数は2万8699件とされていましたが、同調査報告書によると、実質的な有料会員は5170件で、直近でアクセス記録があったのは2236件しかありませんでした。つまり大量の架空取引が行われ、売上が過大に計上されていたのです。

報道などでは「循環取引」と言われています。具体的に、どのような流れになるのかというと、

1.オルツが広告宣伝費や研究開発費名目で、他社に資金を支出する。

2.その資金が複数の企業を経由して「スーパーパートナー(SP)」と称される特定の販売パートナーに渡される。

3.SPが他社から受け取った資金を用いて、オルツから「AI GIJIROKU」のライセンスを架空購入して売上代金を支払う。

という流れになっていました。

この取引を繰り返すことによって、2021年6月から2024年12月にかけての売上高累計が約119億円、広告宣伝費が約115億円、研究開発費が約13億円も過大に計上されたのです。2022年12月期と2023年12月期の売上高に対して、それぞれ91.3%、91.0%が架空取引によって占められていました。これを意図的に行ったわけですから、資本市場を冒涜する行為といっても過言ではありません。