採用者との雇用条件のミスマッチ

ミドル・シニア人材におけるミスマッチの典型例として、職種の条件と待遇の条件が合わないことが挙げられます。最近では、男女雇用機会均等法世代で定年を迎える人たちが出てきましたが、定年後の再就職において、このミスマッチの問題にまさに直面しているのは多くはミドル・シニアの男性です。

一般的にハローワークやシニアコーナーで求人が多いのは、警備、マンションの管理人、ビル清掃といった仕事となっています。一方、日本総合研究所の調査20によれば、ミドル・シニア男性の希望する再就職の仕事は、「一般事務・サポート」が最も多くなっています。特に学歴が高いミドル・シニア男性においては、「調査・研究・コンサルティング」「経営企画」「(人材)教育」を希望する人も少なくありません(図表1―22)。職種の面でミスマッチが生じているという問題は今に始まった話ではありませんが、高学歴のミドル・シニア男性ほど、ミスマッチが生じやすいのが現状といえます。

1 株式会社日本総合研究所「東京圏で働く高学歴中高年男性の働き方等に関するアンケート調査結果」(2019年) 

 

しかし、中小企業のなかには、専門的な経験やスキルを持ったミドル・シニアへの採用意欲を持つ企業もあります。ただし、ミドル・シニア人材の側がパフォーマンスに見合わない高すぎる報酬やポストを望む一方で、企業側がそれを用意できないというケースは少なくありません。