老後の経済不安への対策は?
老後の経済不安への対策として次の5つの点を考えておきたい。
まず物価上昇に対する生活防衛策としては、収入が年金だけに固定されると物価上昇が特に大きく影響を及ぼす問題となる。今からでもできることとして、収支の見直しや固定費の削減、利用している商品やサービスの切り替えを積極化させることを視野に入れたい。
老後への余裕がある年代なら、必要に応じて資産運用の検討も一つの案となる。
また医療・介護費用への備えとしては、70代以降で増加する医療・介護への不安に対して公的保険の理解と活用、また必要に応じた民間保険の検討も重要だ。
なお、60歳以上の全年代で40%前後が不安を感じているのが災害対策だ。自身の住む住居の安全確認や緊急時の避難経路、あるいは資金の確保など、後回しにせず今からでも準備を進めたい。
また、資産管理と相続対策も心配の一つだ。高齢になるにつれて増加する財産管理や相続への不安には、早い段階からの計画立案が望まれ、場合によっては専門家への相談も視野に入れておくと安心だろう。
最後に、社会保障制度の理解と活用が挙げられる。各種給付金や支援制度を理解し、積極的に活用することで経済的不安を軽減できる可能性がある。
高齢社会がさらに進展する今後、これらの経済的不安への対策は個人だけでなく、社会全体で取り組むべき重要な課題だ。特に物価上昇対策や医療・介護システムの充実は高齢者のみならず全年代の生活を支える基盤となる。今からできることを個人で、社会全体で行うべく、「他人ごと」にしない意識と行動が必要だ。
調査概要 白書名:令和7年版高齢社会白書 調査主体:内閣府 公表日:2025年6月10日