60代前半「将来への強い懸念」、後半「医療・介護費の心配」
年代別の分析からは、各世代特有の経済不安のパターンが浮かび上がってくる。60~64歳では、特に女性において物価上昇への不安が83.7%と全年代のうち最も高くなっている。この年代はまさに定年退職後の生活設計を考える時期であり、将来の経済状況に対する不安が顕著に表れているようだ。また、「収入や貯蓄が少ないこと」に対する不安も男女ともに50%以上と高く、退職後の収入減少を実感していることがうかがえる。
60代後半(65~69歳)になると、「自分や家族の医療・介護の費用」への不安が徐々に増していく傾向にある。男性は40.0%、女性は41.5%が費用負担に懸念を示している。
医療介護費の負担について70代前半(70~74歳)の男性では34.5%に落ち着く一方で、「自力で生活できなくなることによる転居や有料老人ホームへの入居費用」が43.4%と、65~69歳の同35.5%から7.9ポイント増加する。いずれも健康不安による費用負担は心配の種であるようだ。
女性は60代後半と70代前半では、両費用の心配とも4~5割程度とあまり差は見られなかった。
85歳以上では不安が減り、「受け入れる」ようになる?
85歳以上になると、全体的に不安を感じる割合が他の年代に比べて低下する傾向にある。「物価が上昇すること」への不安も男性63.4%、女性68.3%と、他の年代に比べて最も低い。
また、この年代では「不安と思っていることはない」と回答した割合が男性10.8%、女性7.1%と、他の年代と比べて最も高くなっている。年を重ねるにつれて経済的な不安に対する受容や適応が進んでいるのだろうか。