少子化が進む中、ますますの活躍が求められるミドル・シニア世代(40代~60代)。

しかし、意欲や態度といった個人の意識や企業の体制、社会構造などの問題により、ミドル・シニアの活躍は思うように進んでいません。

社会人材コミュニケーションズの宮島忠文氏と日本総合研究所の小島明子氏が、ミドル・シニアの活躍が進まない理由を解説します。(全4回中の2回)

※本稿は、宮島忠文・小島明子著『定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図』(日本経済新聞出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

●第1回:40代~60代の活躍が進まないのはなぜか 定年延長は進んだのに、望むキャリアが得られない理由を解説

増える副業・兼業の希望者

ミドル・シニアの活躍の施策として、ここ数年推進されるようになっている代表的な施策が副業・兼業の解禁です。

日本総合研究所の調査1によれば、副業・兼業に対して賛成しているミドル・シニア男性は、「非常に賛成している」(23・9%)、「やや賛成している」(53・5%)を合わせ約8割、ミドル・シニア女性についても、「非常に賛成している」(43・2%)、「やや賛成している」(21・6%)と合わせ約6割に上ります。

1 中高年男性については、株式会社日本総合研究所「東京圏で働く高学歴中高年男性の意識と生活実態に関するアンケート調査結果(報告)」(2019年)
中高年女性については、株式会社日本総合研究所「女性の定年に関する調査報告―中高年女性のキャリアと私生活に関する意識―」 (2022年)

いずれも副業に賛成する理由としては、「収入確保の手段の多様化につながる」(男性481%、女性65・8%)が最も多いものの、「今まで培ってきた専門性を活かせる」(男性46・2%)、「社内では得られない新たな経験や知識を獲得できる」(女性40・3%)も挙げられています。

「年功序列が崩れて給料が下がるのは仕方がないが、生活を維持するために副業を認めてほしい」「複数の仕事をこなして、それぞれ充実した意味のある人生にしたい」といった意見もあります。現状の働き方を改善するために、副業・兼業へ新たな活路を見出したいといった自由記述も見られます。

副業・兼業を希望する男性のうち、実は約半数は給与が削減されても副業・兼業を行いたいと考えており、副業・兼業を行うことによる給与減額の許容割合として、最も多いのが「0%以上10%未満」(38・8%)、続いて「10%以上20%未満」(25・1%)、「20%以上30%未満」(18・6%)だということも分かっています。