「2024年度DCエクセレントカンパニー」6社が受賞
午後からはメインイベントである「2025年度DCエクセレントカンパニー」表彰式が執り行われた。DCエクセレントカンパニーとは、DC制度の運営に積極的に取り組み、加入者が制度を有効活用できる環境づくりに努め優れた成果を挙げている事業会社に贈られる賞だ。
従来は自薦・他薦による応募から優秀な取り組みを行っている事業会社を表彰してきたが、今年度から新たに認定制度を導入した。応募に際して目安となるよう協会が定める基準を明確化し、その基準を満たす事業会社をDCエクセレントカンパニーとして認定。中でも優秀な取り組みを行う事業会社に「優秀賞」「奨励賞」を授与する形式に刷新した。より多くの企業の応募を促進し、応募自体に価値を与える仕組みとして生まれ変わった結果、継続教育部門5社、ガバナンス部門1社が優秀賞に輝き、厚生労働省・海老課長から記念の盾が授与された。
<2024年度DCエクセレントカンパニー優秀賞受賞企業>
継続教育部門:J.フロント リテイリング、新宮運送、電通総研IT、富士通/富士通企業年金基金、ヤマト運輸
ガバナンス部門:大和ハウス工業
優秀賞受賞企業ではどのような取り組みが評価されたのか。詳細を企業ごとに紹介する。
継続教育部門
優秀賞 J.フロント リテイリング
制度導入から15年にわたり、毎月のニュースレターの発行、業務時間内に実施する全加入者対象の年次セミナーを通じて、継続的・実効性の高い教育を提供。加入者専用WEBサイトへのアクセス促進施策の結果、アクセス経験率が約8割に向上、情報提供の質と浸透を高めた。DC制度とその他の退職給付制度の総額を可視化し、加入者の老後資産形成を包括的かつ計画的に支援する体制を確立している。
優秀賞 新宮運送
加入者への継続的な教育支援の質を高めるべく教育委託先を再選定し、全加入者対象の年次セミナーを継続的に実施。加入後3年間、ファイナンシャル・プランナーとの個別相談を通じた丁寧なサポートを提供。また、総務部が毎月の社内報でDCの運用概況を発信、加入者サイトへのログイン支援を個別に行うなど、主体的かつ細やかな取り組みを展開、元本確保型商品の残高が過去10年間で半減するという顕著な成果を挙げた。
優秀賞 電通総研IT
加入者が自身のリスク許容度に即した適切な運用を実践できるよう、リスク許容度に基づく望ましい資産配分と実際の資産配分との差異を可視化する専用アプリの活用をトップダウンにより積極的に推進。必須履修の動画視聴などの周知・教育施策を展開し、アプリ登録者が過去2年で30%から80%へと大幅増、加入者の運用行動の改善に着実な成果を収めた。
優秀賞 富士通/富士通企業年金基金
加入者の投資経験や制度理解の成熟度に的確に対応するため、多岐にわたる教育メニューを構築、案内メールや申込サイトで工夫を重ね、セミナー受講の促進に尽力。これらの取り組みによりセミナー申込者数は2年連続して倍増と顕著な成果を収めた。さらに指定運用方法の見直しや商品の除外等の運用環境の整備を進めた結果、元本確保型商品のみ保有の加入者は全体の2%にまで減少、より適切なリスクに基づく資産形成の定着に寄与した。
優秀賞 ヤマト運輸
制度導入以来、年4回発行する「ライフプランだより」の継続的な自宅郵送など、全加入者への情報提供に尽力。各地域の役職者向け会議を活用したセミナー実施のほか、50代向けショート動画を新たに制作、履修必須のライフプランセミナーでも活用するなど視聴の促進を図った結果、元本確保型商品のみ運用者が15%以上減少、適切な資産形成への行動変容が進んでいる。
なお継続教育部門では、今年から設けられた「奨励賞」を城南信用金庫、新和自動車、常磐運輸、兵庫物流、三菱UFJ銀行の5社が受賞した。
ガバナンス部門
優秀賞 大和ハウス工業
単独導入企業を含む全31社におけるガバナンス体制の一層の強化を図るためDC運営委員会を新設、商品や制度運営に関するモニタリング・課題解決に向けた協議を継続的・組織的に実施。グループ各社の管理部門幹部が集まる研修会でDC制度の最新動向を毎年報告、各社担当者への研修を通じて、制度運営に関する知識の涵養と担当者間の有機的な連携による支援体制の強化に尽力している。