約5000万件もの持ち主不明記録が発覚
これを「持ち主不明記録」と呼びます。持ち主不明の年金記録とは、国の年金記録の中で、誰のものかわからなくなってしまっている記録のことです。
過去には約5000万件もの持ち主不明記録が発覚し、現在もまだ未解明のものが存在します。
実際にその記録が発見されたことで、年金額が3倍以上に増えた例や、令和6年8月時点で年金が増額された人数が延べ109万人になるというデータもあります。厚生労働省の資料によると、「持ち主不明年金」で過去の年金記録と統合されたことで、年金が過去からさかのぼって1800万円増額されたというケースもあります。これは、驚きですね。
記録漏れが発生しやすいケースには、転職が多い、結婚や離婚で姓が変わった(女性は旧姓の記録と繋がっていない場合がある)、名前の読み方が複数あるなどです。
確認方法としては、節目の年齢(59歳など)で送られてくる「ねんきん定期便」には、これまでの全ての加入記録が記載されていますので、その内容を確認しましょう。
日本年金機構が提供している「ねんきんネット」の持ち主不明記録検索システムを利用すれば、検索が可能です。「ねんきんネット」は、年金記録の確認、年金見込額の試算、通知書の閲覧など、年金情報の確認や年金に関する各種手続きが行えるサービスです。24時間いつでもどこでも、スマホやパソコンから利用可能です。
そこでもし、本来もらえるはずの年金(過去の厚生年金基金、持ち主不明記録による増額分など)の請求を忘れていたことに気づいた場合でも、諦める必要はありません。
年金を受け取る権利は、請求すれば過去5年分までさかのぼって支給されます。気づいた時点で、お近くの年金事務所に相談し、手続きを行ってください。
ただし、残念ながら5年を超えた分の年金は時効によって受け取ることができなくなってしまいます。
「持ち主不明年金」など、年金記録の訂正があった場合には時効による消滅はなく、全期間にさかのぼって受け取ることができます。
もらえる権利のある年金を忘れずにきちんと受け取ること、これが老後資金を増やすために非常に重要です。
「ねんきん定期便」に書かれていない年金や、年金記録に漏れがないか、その時期が訪れたら、忘れずに確認しましょう。
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著者名 社労士みなみ
発行元 かや書房
価格 1760円(税込)