まだまだ日本にも成長分野はある

そのためにも、今の日本を強くする成長ドライバーが必要だ。それは何か。

一例として、GXは大きなカギを握っていると考えている。GX関連の新技術を日本は多数持っていると言われている。水素自動車、ペロブスカイト太陽電池など、日本が優位に立っているGX関連の技術はたくさんある(らしい)。そのなかで勝ち筋を見つけ、投資を進めれば世界トップクラスのシェアを占められる可能性は大きい。

ただし戦略がなければ、いいものを持っていても勝てない。いい例が太陽光パネルだ。太陽光パネルの貿易で世界最大のシェアを握っているのは中国で、実に80%超を占めているが、かつては日本が80%を占めていた。ところが、この分野に参入する企業が増えていくなかで価格競争が激化し、利益率が下がったために日本のメーカーは次々撤退してしまった。すかさず世界最大のシェアを握ったのが中国というわけだ。地球環境への関心がさらに高まり、太陽光パネルに対する需要が世界的に伸びたことで、この分野においては中国の一人勝ちが決まった。太陽光パネルと同じ轍を踏まないようにする必要がある。

他には、世界でもっとも超高齢社会が進んでいる日本としては課題先進国として介護分野の技術やノウハウを世界に輸出することも考えられる。介護ロボットや人々の健康寿命をできるだけ伸ばすための制度、技術などHX(ヘルストランスフォーメーション)も、ゆくゆくは人口が減少していく他の国々からの需要があるはずだ。

コンテンツビジネスも日本のお家芸といっていい。日本には多数の漫画やアニメがあり、世界中で人気を集めている。なのに、なぜサウジアラビアにドラゴンボール館ができるというのに日本にはないのか。日本にあるテーマパークはディズニーランドとUSJ、レゴにハリー・ポッターなど外資揃い。一方、日本のキャラクターで日本国内でテーマパーク化されているのは、サンリオピューロランドかジブリくらい。日本には輝かしいキャラクターやアニメがたくさんあるのに、それらのコンテンツを収益化するのがあまりにも下手すぎやしないか。

探せば、まだまだ日本にも成長分野はあるはずだ。そのなかから二つ、三つの成功事例が出てくれば、日本という国のブランド力が再興されるはずだ。それを世界市場に向けて打ち出すことで、日本経済は低成長から脱することができるのではないか。

金利上昇は日本のチャンス

 

著者名 中空 麻奈

発行元  ビジネス社

価格 1760円(税込)