◆不透明な株式市場で「配当」の魅力
不安定な株式市場が続いている中で、成長資産としての株式に投資しつつ、価格の変動率や下落率を少し抑えたいと考えた時に手掛かりになるのが「割安」や「配当利回り」という指標だ。静銀ティーエム証券の売れ筋にランクインしている「配当」に着目したファンドは、2025年の難しい相場の中でも優れたパフォーマンスを残している。
「ダイワ好配当日本株投信(愛称:季節点描)」は、国内株式を投資対象とし、予想配当利回りが高いと判断される銘柄を中心に、成長性、企業のファンダメンタルズ、株価の割安性等に着目し、投資銘柄を選定してポートフォリオを組んでいる。5月末時点でポートフォリオの予想配当利回りは3.70%となっており、日経平均株価の2.20%と比較して高い利回りを確保している。年初からの基準価額(分配金込み)は4月に前年末比でマイナス15%程度に落ち込んだものの、5月末には前年末水準を回復している。
「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド(毎月決算型)」は、生活に必要不可欠なモノやサービスを提供する企業で、一定の国・地域で独占的に事業を展開する企業の中から、相対的に高い配当利回りのある銘柄群に投資している。2025年5月末時点で総合電力・送配電銘柄を約45%組み入れるなど、トランプ関税等で景気の先行きが不透明になっても収益への影響が小さい企業が多く組み入れられている。ポートフォリオの実績配当利回りは3.95%。年初からの基準価額(分配金込み)も堅調に推移し、5月末時点では前年末比プラス3.9%となり、6月に入ってプラス5%を超えてきた。
「フランクリン・テンプルトン・アメリカ高配当株ファンド(毎月分配型)」は、主として米国の株式、MLP(エネルギー事業を主な収益源とする共同投資事業形態)、リートへの投資を行い、株式は配当利回りの高い銘柄を選んでいる。2025年5月末時点の予想配当利回りは3.4%。米国株式市場の下落に連れて年初来の基準価額(分配金込み)は一時マイナス20%にまで落ち込んだものの、6月には前年末比マイナス10%の水準にまで戻った。
執筆/ライター・記者 徳永 浩